[090206]息吹く血潮 | ナノ
──色とりどりの
赤、緋、あか。
いつも、考えてた。
皮膚のすぐ下を流れる血液はあんなにも鮮明な赤色なのに、奥へと深まるにつれ徐々にその彩りは陰を落としドロドロした赤黒い塊になるのは、ねえ母様、どうしてなの?
母様は答えてはくれなかった。ギラギラに真白いドレスに滲んだ、どす黒い血。きたない。これとおんなじのが俺にも流れてんだぜ?さいあく!
今までみたので一番汚かったのが母様。二番目はきっとバカ兄貴だな。あん時は一生懸命だったからあんま覚えてないんだけど、多分間違いない。何てったって、あの母様の愛息子だもんな。ししっ。
逆にキレイだなーて思ったのは、スラムで薄汚れた服を着て動かなくなっちまったガキんちょ。王子が殺ったんじゃねーけど。勝手に血ィ吐いて死んだんだ。俺はたまたま見かけただけ。
シミだらけの服に点々と染まった赤は、ときが経ってもなお鮮明な赤色だった。あれは子供のそれだったからなのかな。
大人は体が大きくなった分だけ光も酸素もキレイな血も届かなくなって、奥深くに滞った血流は、黒く暗く、陰を落としていくんだ。そうに違いない。
だからまだしばらくは王子のままでいっかなーなんて思ってる。
で。王子は考えたワケだ。あのハナタレ小僧はどうなんだろって。
中身は腹黒いけど、ちびだからもしかしたらキレイなんじゃないかって思うんだ。肉もゼッタイ柔らかいに決まってるし、考えただけで、あー、ワクワクする!
だからいつも抱っこしてやる度に、どこに刃を入れるのが良いか考えるんだ。だってチビだから、出血量なんてたかが知れてんじゃん?限りある資源は有効に使わなきゃね。
フツーに考えれば首の頸動脈が一番効果的なんだけど、王子的にそれはパス!スクアーロが「殺る時はひと思いに殺れ。びちゃびちゃ汚すな!それが最低限の礼儀だぞぉ」とかゆってたけど、つまりはセオリーとして頸動脈をやるのが一番てことだ。そう考えるとツマンネーなって思わねえ?だいたい赤ん坊の首なんて、あってないようなもんだし。首だか顎だか区別がつかねーんだもん。
そんなことより一番の問題は、あの腹黒さだ。しくじれば間違いなく超・メンドイことになる。殺気をたてずに殺るなんて朝飯前だけど、ハナタレ相手じゃ話は別。当然、俺の密かな企みには気づいてるだろーから、全くスキをみせようとしない。お互い、相手がどう出るかを待ってるって感じ。
基本、こうゆう場合は先に動いた方の負けだから、何年も牽制しあってたらボスが起きちゃって現在はいちお停戦中。てことになってる。
・・・アレ?何の話ししてたんだっけか。
ま、いーや。もう聞こえてなさそうだし。
ケッコーキレイな赤色だったから王子はかなりご満悦なんだぜ?
ごくろーさん!
じゃあ、バイバイ♪