「プール?」
「はい。友ちゃんと行ってきますね」

春歌お手製の夕飯に舌鼓をうっているさなかに告げられた彼女の予定。友千香と随分と久しぶりにオフが重なったそうだ。
嬉しそうな春歌とは反対に音也は素直に喜べなかった。プールということはつまり水着、春歌の肌が人目に晒されるのだ。自分もついて行きたかったがひと月先まで予定はみっちり。とても動かせそうにない。だからといって、約束を反故にするよう言うのは憚られて…もやもやとした気持ちを、彼女がつくったハンバーグとともに飲み込んだ。




「あ……」

その夜、いつものようにベッドで春歌と抱き合っている最中、音也は思いつく。あのもやもやとした気持ちを解消する方法を。肌を見せられない状況にしてしまえばいいのではないかと。
狭い彼女の秘所を指で慣らしてあとは挿入するだけ、という状態で動きを止めたのを不安げに見上げてくる彼女に接吻けて、告げる。

「ごめんね、春歌…もうちょっと待ってね」

困惑する彼女を余所に、首元を一舐めし、噛み付く。初めは軽く。次第に強くなっていき…がぶり、と音がしそうなくらい。白い肌に、赤いくっきりとした歯型が残された。

少し痛いです、と春歌がやんわりと抗議するものの、止まらない。

「うん、もうちょっとだから…我慢して」

次いで鎖骨あたりと二の腕にひとつずつ。間違ってもビキニなんか着ないように、谷間と腹部は重点的に。柔らかな大腿にも膝にかけて、次々と所有の証を刻んだ。

密着していた体を離し、歯型だらけになった春歌の体をチェックする。これで出せるのは膝下と肘から先くらいだ。満足げに笑みを零す音也に向けられて華奢な手が伸ばされる。

「…おと、や…くん……もう…」

意識していなかったが、少しだけと言っておいて随分時間をとってしまったようだ。春歌は暗い部屋でもきらきらと輝く金色の瞳を潤ませて苦しげに呼吸している。恥ずかしがりやな彼女が求めてくれるのが嬉しくて…たまに噛み跡を残すのもいいかもしれない。ごめんね、と謝りつつそんなことを思案しながら震える恋人を抱きしめた。





「(彼女の全てを見れるのは、俺一人だけ)」

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -