※設定が少し特殊。
あとあまり砂春っぽくない。





砂月さんがこの家にきて暫く経ちます。

始まりはアパート近くの道端。砂月さんは珍しい髪色をしていて、一目見た時から気にはなっていました。その後数日間じっと座りこんでいるのを見て、ついつい声をかけてしまったのです。警察に届けるも家は不明。数日間過ごすと情もわくもので…引き取ってしまったわけです。


来た時は幼かった彼も、だいぶ成長しました。抱き上げると体重も増していて、時が経ったのを実感します。砂月さんがいる生活にもだいぶ慣れました。



朝は大抵砂月さんに起こされます。お腹が減った、とばかりに叩かれ揺さぶられるのです。時にはひっかいてくるので、しぶしぶながらも起きます。


朝食を催促するくせに砂月さんが自分自身で食べ物を口にすることはめったにありません。人が食べているところに寄ってきて、口をあけます。仕方なしに口元へ運ぶと、そこから少量を口に入れてゆっくりと咀嚼していきます。

後片付けをしている間に彼はいなくなってしまいます。しかし昼時には戻ってきて朝と同じように催促を始めます。


昼食後には窓際に置いてあるソファーで日向ぼっこをするのが日課のようです。時々、あくびと共に大きく伸びをして、この時だけはどんなに撫でても文句を言いません。お腹に頬を寄せても大丈夫です。
しかし、満足するとまたフラリとどこかへ行ってしまいます。どこへ行くかは告げてくれませんが、おそらく仲良しの那月さんと遊びに行っているのだと思います。日が落ちる頃に戻ってくる彼は一日で最も機嫌がよいのです。

すると今度はお風呂の催促。タオルを引きずってきて渡してきます。綺麗に洗った後、ドライヤーで丁寧に乾かします。彼は体温が低く風邪をひきやすいので、ドライヤーは夏でも必須です。



砂月さんが眠い時は分かりやすいです。少し離れたソファーに腰掛け、じっと見つめてきます。ひたすら、まっすぐに。少しも逸らしません。
視線に負けてベッドに入ると、ゆらりと立ち上がって、ベッドに飛び乗ってきます。掛け布団と自分の間にスペースをつくると素直に潜りこんできます。普段つんとしている彼がすり寄ってくる姿を見ると愛しさがこみあげて、もう何も言えなくなってしまいます。




「おやすみなさい、砂月さん」


そう言いながら首元を撫でると、砂月さんはみゃぉと鳴いて答えてくれました。






良い夢を、愛しの猫さん。
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