※百合注意




真夜中、ふと目が覚めた。少し寒い。何故か寝る前に着た筈のパジャマを着ていないようだった。肌が外気に触れている。上着は前の釦が全て外され、腕に引っ掛かっているだけの状態。ズボンは下着ごと脹脛辺りまで下ろされているみたいだ。

更に胸の一部分がやけに生暖かい。恐る恐る薄く目を開けて見てみると、見知った顔が自分の体を舐めていた。友ちゃんが、隣のベッドに寝ていたはずの彼女が私のベッドにもぐりこみ、跨っていたのだ。


そう認識すると靄がかかったような思考が急にはっきりする。どうしよう、怖い。でも、ここで声を出したら、友ちゃんと私は明日からどうなるのだろう。今迄と同様に過ごすのは無理な気がした。
友達は身体にキスをしない。肌を舐めない。そういうことをするのは恋人…それぐらい、私だって知っている。でも私たちは友だちでルームメイト。挨拶で頬にキスをしても、嬉しい時に抱き合っても、恋人じゃない。

そんな事を考えている間にも彼女の顔が下へと移動していく。目を覚ました時に胸辺りにあったはずの舌は右の肋骨をたどって臍へ。そのまま真っ直ぐに下がった。そこは自分でもなかなか触れないような、つまりは、性器があるところ。

暫く動きが無い。ただじっと見ているようだ。少ししてそれが間違いだったことに気づく。彼女はあの形の良い鼻を細かに動かしていた。信じられないことに、自分の性器の臭いを嗅いでいるようだ。吸い込まれた空気が生暖かい風となって薄い唇から吐き出され、吹きかけられる。肌が粟立つのを感じた。それが生理的なものか心理的なものかどうかはわからない。

少しの間忙しくなく呼吸を繰り返した後、彼女はその箇所を口に含んだ。言いようのない恐怖を感じ叫んでしまいそうになるのを必死で堪える。舐められ甘噛みされたり…指で一番敏感な箇所を執拗なまでに弄られて、そのまま絶頂。同時に意識もフェードアウト。



次の日、台所で目にした友ちゃんはいつもどおりだった。

「おはよう、春歌!もうちょいで朝ごはんできるからね〜」

挨拶の言葉を口にしながら、フライパンを握る彼女。冷たいだとか怖いだとか、そういった感情は微塵も感じられない。
あれはきっと夢だったのだ。起きた時自分はきちんとパジャマを着ていた。そうだ、あんなこと、起きるはずがない。思わず安堵のため息が漏れる。





しかしその後、トイレにて、おろした下着の中からレンガ色の長い毛髪を見つけるのだった。



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