※特殊パロ。何があっても平気な方のみどうぞ。
初めまして七海春歌です。
そう言ってふわりと笑った少女に真斗が出会ったのは十七の夏のことだ。お目付け役の藤川がどこからともなく連れてきた春歌は行儀見習いで聖川家に学びに来た、ということであった。
真斗は、それまで年頃の女子とまともに触れ合うことがなかった。元々警戒心の強い子どもであったし、きゃあきゃあとお喋り好きな女性は鬱陶しく感じ敬遠した。反対に物静かな女性は無口な真斗と会話が続くわけもなく…勉学の合間を縫って、年の離れた妹と遊ぶ程度であった。
しかし春歌は真斗が今まで出会ってきた女性の誰とも違っていた。愛くるしい微笑を浮かべ、控えめだが様々なことを話す。女性にしては珍しく哲学や外来語に精通している春歌の話は面白く、思わず身を乗り出して聞いてしまうこともしばしばで…徐々に真斗の方から話しかけるようになった。彼女も真斗と同様にピアノを嗜んでいてのも大きい。稀に昼間空いた時間が重なると、楽譜を持ち寄って連弾をすることがいつの間にか二人の決まりごとになっていた。
そうして三月程が経ち十八になる冬の日のこと、真斗は唐突に恋心を自覚した。自分はあの少女が好きなのだ…独り占めしたいほどに、抱きしめて腕の中に閉じ込めてしまいたいほどに、柔らかな肌に触れてしまいたいほどに。腹の底から沸き立つように熱い、初めての恋情に気付いてしまった。きっかけは一匹の猫である。
春歌は黒い猫を連れていた。正確には連れていたのではなく勝手に付いてきてしまう野良猫であったが、週に幾度も自分の元を訪れるその猫を、彼女はクップルと呼びこっそり缶詰の魚を与えるなど可愛がっている。
ある日、春歌の部屋を訪ねると…我が物のように彼女のベッドに脚を投げ出して寝転ぶ黒猫を見つけてしまった。思わず彼女を振り向けば、眉尻を下げて困ったように笑う。
「寒いからでしょうか…昨晩、窓をかりかりと引っ掻いていたので、つい…お布団にいれてしまったのです」
春歌と一緒に寝た。その事実に急速に心が冷えていく。目の前で欠伸をして機嫌よく尻尾を揺らしている猫が途端に憎らしく思えて…真斗は大股でベッドへ歩み寄り、猫の首根っこを掴んで近くの窓からぽいと放り投げた。俊敏な動きで地面へと着地した猫が唸り声をあげていたのを無視してぴしゃりと窓を閉める。
「もうあの猫を寝床には入れてくれるな」
「ご、ごめんなさい…!」
あまりに低い声で言うのだから驚いたのだろう。腰を九十度に折り曲げて深々と礼をする春歌に、真斗まで慌ててしまう。
「いや、俺が悪かった…そんなに気にすることではない。ただ、お前と共に一夜を過ごした輩がいるかと思うと…たとえ相手が猫であっても、胸が痛いのだ」
きょとりと目を瞬かせる春歌に、真斗は顔が火照るのを感じていた。自分でも、馬鹿なことを言っているとわかっている。たかだか猫だ。しかも、彼女と自分はただの同居人でしかない。真斗が咎める権利などないのだ。
やはり訂正しよう。そう思い真斗が口を開こうとした時…不意打ちで、肩を突き飛ばされた。何の身構えもしていなかった彼は当然の如く、ふかふかのベッドへと倒れこむ。彼が驚いて顔を上げれば、ぎしりという音を立ててベッドの端に膝立ちとなった春歌が視界に入った。窓から入る光を背にしているため、春歌の表情は伺えない。
「真斗さまは…私と一緒に寝たいのですか…?」
ぽつりと、春歌が言った。
初めは、何を言われているのかわからなかった。わたしといっしょにねたいのですか、とはつまり…春歌と同じ布団に包まり身近に彼女の熱を感じるということだ。だから、自分はあの猫に嫉妬した。ぼんやりとした頭でそこまで考えて、真斗は小さく頷く。
すると…唐突に、接吻けられた。腿のあたりに座る春歌に、繰り返し唇を合わせ舌を絡める行為に真斗の下腹部がどくりと脈打つ。
おかしいとは思っていた。こんなことは恋仲の男女がすることだ。本来ならばやめねばならない。だから、春歌を押し戻そうと細い肩に押すのだが、うまくいかない。
目の前のか弱い少女など、男の自分からしたら引き剥がせるはずだというのに…簡単に抵抗は押し込められてしまう。
「拒絶なさらないで下さい…これが、本当の私のお仕事ですから」
娼婦ってご存知ですか、わたしソレなんですお金持ちのご子息に性の手ほどきをするのがお仕事です…と、淡々と話しながらも春歌の手は止まらない。ベルトの金具をするりと外して手早くズボンの前を寛げた。そして混乱して固まる真斗を見て、にこりと笑いかけると視線を下へと戻して…下着の中へと手を差し入れた。
「っ…!」
いつもは鍵盤の上を滑る手が、己の陰茎を扱っている光景に…真斗は思わず息を詰まらせる。既に精器は半分ほど勃ちあがっていた。
ふいに、春歌が何かを胸元から取り出す。小さな正方形をした包装紙を破って中に入っていたゴム状のものを親指にひっかけると…彼女は体をずらし、真斗の陰部へと顔を寄せた。
「真斗さま…少々、失礼いたしますね…」
「なにを、っぅあ…」
そうして、真斗が静止する間もなく、小さな口に陰茎を含んだ。一気に喉までくわえたかと思うと…唾液で濡らしながら軽く歯をたて、口内から出しては丹念にそれを舐めまわす。当然のことながら、刺激を受けた瞬く間に真斗の精器はがちがちに堅くなった。
それを頃合いと見たのか春歌は一度口を離し、指に掛けていたゴムを広げた。
「奥方さま以外の方となさる場合は、必ずこれをつけてくださいませ」
そう言い、彼女が再び陰茎へ指を触れさせようとした時だ。
「っ…ハル…!」
「きゃっ」
男根の先から勢いよく吹き出した精液が、少女の顔をしとどに濡らした。予想外のことだったのか、春歌が動くこともなく…
「す、すまない」
「…お気になさらないでください」
それより続きをいたしましょう?
そう言って、粘着性のある半透明の液を指でそっと拭いながら微笑む春歌は淫靡で…最も美しいものだった。
橙の夢
(一日限定の触れ合い)
めぱ様へ
お届けが大変遅くなりましてごめんなさい(´・ω・`;)
そして趣味に走りまくった結果、娼婦春歌ちゃんにヘタレおぼっちゃん真斗というまたもやアレなものになりました…クップルもあまり出せず…申し訳ないです_(X3 」∠)_
めぱ様に気に入っていただけると良いのですが…違うようでしたら、書き直したり付け足したりいたしますのでどうぞお申し付けくださいね!
リクエスト誠にありがとうございました!