「あの私だと…やはり…魅力が、足りないのでしょうか…?」

そんなわけがなかろう、という言葉を何とか飲み込んだら何も言えなくなってしまった。常に愛らしい恋人ではあるが、少しでも緊張を解くと理性なんぞ簡単に吹っ飛んでしまいそうなほど今の彼女は刺激が強い。
端的に言ってしまえば…ハルは今、藤色の下着のみを纏い布団の上に正座を崩すように座っている。いつものように別々に風呂へ入り寝室へと向かえば、先に戻った彼女がそのような状態でいたというのだから…絶句するなと言う方が無理な話であろう。




ハルは硝子細工のような人間だ。繊細な美しさを持っていてどこか儚げで…華奢な体は抱きしめることさえ躊躇ってしまう。だからこそ、頬はともかく、素の体に触れるという恋人故の行為にどうしても抵抗があった。自分を抑える自信がなかった。力加減が出来ず触れてしまうことが原因で彼女に嫌われたくなかった。触れたら壊してしまいそうで隣に彼女がいるだけでじわりと熱を持つ己を必死で抑え込んでいた。

舞台やドラマで恋人を演じることはあっても、それはただ脚本に沿って進む。物語の中での出来事なら何があっても受け入れられる。しかし現実は違う。
交際禁止の校則を守ろうと距離を置いた二ヶ月間でさえ、心にぽっかりと穴が開いたようだった。寂しい、という気持ちが膨れるばかりで何も手につかなくなかった。おそらく自分は…彼女なしではもう生きられない。だから接吻け止まりの関係を続けていた。


そうやって臆病な心を見て見ぬふりをして…ハルにこんな行動までとらせてしまった自分は大馬鹿者である。己を叱咤し、うつむく彼女の頬へと手を添えて



「……ハル…」

はい、と正面からまっすぐ見つめてくる琥珀色にたじろいでしまった。いやいやそんな場合ではないのだ。俺には告げねばならないことがある。僅かばかりではあるが震えてしまう腕で彼女を抱きしめて、乾いた舌で短く言葉を紡いだ。

「不安にさせて、すまない…」

そうして唇を重ねて、彼女もまた微かに震えていたことに気が付いた。






「ハル……ハル…っ」

一糸纏わぬ恋人を目前にして柔らかな肌に触れてしまえばもう何も考えられなくなって、ただ名前を呼ぶことしかできなかった。油断すればすぐに力が入りすぎてしまう手をなんとか制御してふっくらとした乳房を揉むたびに、ハルは恥ずかしげに、でも少し嬉しそうに吐息を漏らすものだから…ますます頭に血が上って、どうにかなってしまいそうだ。

「好きだ、はるか…!」

その晩は朝まで…余裕など一切なく、ただ、ひたすらに彼女を求めた。




血管が沸く音
(彼女の肌は禁断の果実のように甘く)




まい様へ
大変遅くなって申し訳ありません!!(>_<;)春歌のことを大切に思うあまり抱くことが出来ない真斗と、不安になって夜這いしちゃう春歌ちゃんというよだれもののシチュをいただいたのですが、あまりうまく生かせず…まい様のお気に召すかどうかが心配です_(:3 」∠)_
真斗の春ちゃんに対する気持ちを重点的に書いていたら不健全シーンが短めになってしまいましたが、奥手聖川さまのもだもだしてる姿を想像するだけでもう、とっても楽しかったです…!ありがとうございます!

このたびはリクエスト、誠にありがとうございましたv\(*´w`)/
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テーマ「人外ファンタジー」
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