本当はゆっくりと過ごすはずだった。

特にここ最近は夜遅く帰ることが多く彼女との時間は微々たる物で…ようやく取れた休暇で、どんな時間に帰っても笑顔で出迎え甲斐甲斐しく世話を焼くハルを労おうと計画を立てた。連れてきたのは都下にある聖川家の別邸。中学にあがった頃から暫く使っていなかったが、週に一度近くに住む管理人の老夫婦が手入れをしてくれているだけあって中は綺麗だ。
行きがけに買出しもして、到着したのは夕刻だった。そこで久方ぶりに手料理を振舞えばハルは花のような笑みを零した。



夕食後、縁側に座り抱え込むようにハルを膝へと乗せる。山の中腹にぽつんとある此処は都会の喧騒と反して、虫の声と夜空の星々くらいのもの。さらさらとした桃色の髪を撫でながら、とりとめの無い話をする時間にぽかぽかと胸が温まるのを感じた。やはり、ハルは俺を癒してくれる。

彼女もこの時間を楽しんでくれているようで、珍しく小さく声を出して笑っていた。ついには、華奢な手で俺の右手を握り、頬を摺り寄せる程に。恥ずかしがり屋のハルが自ら進んで人に触れようとするのは至極珍しい。

「真斗くん」

不意に、名を呼ばれた。吐息が手にかかって少し擽ったい。

「今日は連れて来て下さってありがとうございます」
「礼には及ばん…お前が、此処を気に入ってくれよかった」
「あ、その…もちろん此方も素敵なのですが…」

言いよどむ姿にどうしたのかと顔を覗き込む。が、視線を下にそらす琥珀とは目が合わない。言いかけては口を閉じるのを数回繰り返して…


「…こんなにたくさん、真斗くんを独り占めできるのが……嬉しくて…」


小さく紡がれた言葉に、どくりと己の心臓が大きく音を立てるが聞こえた。顔に熱が集まるのが分かる。先刻までのまどろむような穏やかな温かさではなく、興奮した熱さだ。薄暗い中でもわかるくらいに真っ赤に頬を染めてはにかむ姿のなんと愛らしいことか…

気が付いたら頬を寄せられていた手が彼女の顎へとかかり、噛み付くように接吻けていた。






それからは酷いものだった。
その晩はハルが気絶するまで交わったというのに…翌朝目覚めて朝陽に照らされる彼女の寝顔を見つめていて、欲情してしまった。しどけなく開かれた唇が寝言で自身の名を呼ぶのを聞けば理性の箍は簡単に外れ、柔らかな肢体へと手を這わせていた。朝食も昼食も取らず、水分だけを補給して陽が沈み始めるまで布団から出なかった。


今もそうだ。

俺のせいで足腰が立たない彼女を横抱きにして、汗を流すために連れて行った筈の浴場で、またもや手を出している。



「あ、うぁぁ…ましゃ、と…く…っ」

檜の床へと胡坐をかいた膝の上にハルを座らせるようにして男根を挿入すれば、彼女は殆ど力が入らない手で俺の肩を掴んで、ゆっくりと動く。掠れた声と呂律が回らないことから見るに今にも眠ってしまいそうな程疲れているであろうに、健気にも求めに応えようとする姿が愛おしくて…本日既に何度も射精した精器は依然として萎えることが無かった。

潤んだ彼女の瞳に映る自分の頬が、だらしないほど緩んでいるのが見える。

「…あう…は、ぁ…あ、きもひ、いい…れす、か…」
「っ…あぁ……最高だ、ハル…」

可愛らしいことを聞く恋人に、これは明日帰るまで離せそうに無いな、と自身の欲に呆れながら…形の良い耳へと唇を寄せた。





(君を抱いていると留まる所を知らない)




リコ嬢 様へ
長らくお待たせいたしました…!
春ちゃんの照れ顔にトロトロでダム崩壊な真斗様が見たい、とご要望いただきましたので、思いっきり(主に理性の)ダム崩壊させていただきました\(^0^)/←
春ちゃんの照れ顔とか…妄想しただけで凄く幸せでした。美味しいシチュをありがとうございます…(*´∀`)人

リクエスト、誠にありがとうございました!
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