徳利で温めた日本酒を、彼が持つ猪口へと注ぐ。真斗は二十歳を過ぎてから、時々お酒を飲むようになった。今日は半年も続いた舞台が無事に千秋楽を迎えられたお祝いだ。春歌は酒に弱く殆ど飲むことは無かったが、晩酌に付き合うのは好きだった。彼の違った一面が見られるからだ。

ひとつしか違わないはずの彼は、とても大人びていて…凛とした態度が崩れることはほとんどないのだけれど、お酒を飲んだときには、少し幼くなる。いつもはぴんと伸びている背筋がちょっと丸まって、藍色の瞳がとろんとする姿はこの時だけのもの。更に酔いが深まると、隣に座る春歌の膝に頭をのせてソファの上でごろりとしてしまう。猫のように甘えてくる彼が微笑ましい。大体はこのまま寝てしまう真斗のために既に毛布も用意してあった。

「…ハル……」

さらさらとした髪が膝にかかるのが擽ったくて脚を動かしてしまうのを咎められるように、けれど優しい声で名前を呼ばれた。ごめんなさい、と言ってなんとか大人しくしようとするけれど…握られた手が、薄桃に染まった真斗の頬に押し当てられたり、唇に寄せられたりして落ち着かず、春歌はやはり動いてしまう。


すると、不意に真斗が身を起こした。

「お前は本当に…くすぐったがりだな…」

悪戯をする子どものように笑う真斗の、背景が動いて、春歌は天井を見上げるような形になっていた。いつの間にか肩に添えられていた手に、押し倒されたのだと悟る。予想外の出来事に驚きつつも明るいところでは気恥ずかしいと身を捩る。そんな春歌を軽々と押さえつけて、すらりとした指を持つ大きな手が手際よく彼女の着ているものを剥いでいった――何処が一番弱いのか知りたくなった、と言いながら。




「やはり一番は、ここか…?」

裸にされた後に全身をくまなく唇でなぞられて、今はソファに腰掛ける彼に跨っている。真斗は一枚も脱いでいない。そんな状態で、いつもより温かな彼の手に、秘所を弄くられている。春歌はもう羞恥で意識を飛ばしてしまいたかった。もっと確実な、指よりも太いあれが欲しかったが、自ら求めるのは、はしたないと歯止めがかかり暫く経過してしまい…緩い愛撫でまだ一度も絶頂していない体はより強い刺激を求めて震えるばかりだ。

磨り減った理性が切れたのは突然だった。それまで熱心に春歌の一番弱い場所、を探していた真斗はじっと彼女の下腹部を見つめていたのだが、ふいに視線を上げ接吻けてきたのだ。啄ばむようなキスを交わした後に間近で見た、彼の顔に春歌は息を呑む。いつもは微笑む程度に感情を抑える真斗が、珍しく小さくえくぼが出るほどの笑顔を浮かべている。

それを見た瞬間に何かぶつり、と音がして…春歌は彼のベルトへと、震える手を伸ばすのだった。




RED LINE
(理性の針が振り切れた)




にた様へ
数年後とかにお酒飲んじゃってる二人とか色っぽい、とおっしゃっていましたので二人の晩酌について楽しく妄想させていただきました。お酒飲んでふにゃりとしちゃう聖川様に、春ちゃんは母性くすぐられたり欲情しちゃったりすればいいなぁ、と思います!(*´∀`)ノ←
という思いをこめて書いていたはずなのですが、表現し切れていない部分も多く…春ちゃんは飲まずに酔った聖川様がやんわり襲う、という何だか超展開なお話になってしまいました(´w`;)少しでも、にた様のご期待に沿えてれば良いのですが…不健全な部分が少ないなど、少しでもご不満ございましたら遠慮なくおっしゃってくださいませ!

このたびはリクエスト、誠にありがとうございましたv
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