※友ちゃんのある設定を捏造しております。






その日はパートナーの方と長い打ち合わせをしていて、部屋へと戻ったのは深夜。何時間も集中し続けて曲を作ったからぐったりとしていたけれど、シャワーを浴びてから眠ろうとバスルームの扉を開けた。
すると、綺麗な、裸体が目に飛び込んできた。知らない人が、入っていたのだ。牡丹色の髪をしたその人は目を軽く見開いて驚いていたようだったけれど、すぐに微笑んで、よく通るアルトで私の名を呼んだ。

「おかえり、春歌」
「っ友ちゃん!ご、ごめんね!」

入っていたのは友ちゃんだった。卒業オーディションまであと一ヶ月、皆必死で曲を作っている。きっと友ちゃんもこんな時間まで頑張っていたのだろう。女の子の誰もが憧れるようなスタイルをした友ちゃんの体もほっそりとして、と、つい思い返すと…何故先程友ちゃんを彼女だと認識できなかったのかに気付いた。

細すぎたのだ。

痩せたにしても、女性としてはあまりに丸みがなく、むしろ筋張っていたように思う。まるで、そう…


「お待たせ〜」

一つの答えに行き着いたとき、肩に手が触れてびくりとする。友ちゃんの手、入学した頃は私より少し大きいくらいだった。それが今は簡単に私の肩を包み込むくらいになっている。彼女は部屋でいつもだぼだぼとしたスウェットを着ていた。もっと可愛いパジャマの方が友ちゃんには似合うのに、と思ったけれど、寝るときは楽な格好が一番!とお気に入りの様子だったから口には出さなかった。もしかして、あれが実は、体のラインを隠すためだったとしたら?

おそるおそる振り返って彼女を見ると、口元はにっこりと笑っていたけれど、いつもきらきらとしたルビーのような瞳はどこか虚ろだった。


「…春歌、見ちゃったよね?」


逃げようとして振りほどこうとしたけれどびくともしない。

「……とも、ちゃん、は…その……」
「うん、きっと当たってるよ」

呆然としていると腕を掴まれて、ぐいぐい引っ張られる。その先にあるのは友ちゃんのベッドだ。嫌な予感がしてその場にとどまろうと逆らうけれど全く効果は無い様で、転ぶようにベッドへと飛び込んだ。どちらが天井なのかわからなくなるなか、何とか体勢を立て直すと…耳に入ったのはピピッという電子音。音がしたほうを見遣るといつの間にか友ちゃんの手にはデジカメが握られていた。それを持ったまま、彼女が覆いかぶさってくる。


「この秘密を守りきることがこの学園にいる条件だから…ばれちゃったのを隠さないといけないんだぁ」
「わ…わた、し……だれ、にも…い、わ…ない」
「うん、春歌はそう言ってくれると思った」

信用してないわけじゃないんだけどね保険が欲しいの、と笑った彼女は、骨張った手で私のシャツを引き裂いた。



嗚呼、太陽が消える。

(親友と純潔を失った日)




平民A様
実は男なの?いやわからん…な友ちゃんシチュにときめき、大変楽しく妄想させていただきました。私も…そんな夢を見ていたことがありました。プリンス達よりも先に友ちゃんにときめき、林檎先生を見てもしや友ちゃんも?なんて考えていた時期が(´ω`)何で友ちゃんルートは無いのでしょうね。「恐怖」をよかったとおっしゃっていただいたので、その路線で書いてみました。お気に召したら幸いですv
友春お好きな方は貴重なのでホント嬉しいです!これからもお付き合いが続けばなぁ…とひっそり思っておりますw
リクエスト頂きありがとうございました!

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