今夜は満月。障子越しの月光によって暗闇の中に布団に座る春歌の姿が浮かび上がる。昼間の婚儀では白無垢で飾られ、はにかんでいた春歌が、一糸も纏わぬ生まれたままの姿で真斗の頬に接吻けた。婚前にも何度か一線を越えそうになったことはあった。しかしその度に、嫁入前に大切な彼女を傷物にしてはならないと、決壊しそうになる理性を押し止めてこの日を迎えたのだ。
愛しい人をようやく自分のものにできる――真斗は逸る気持ちを何とか抑え、肩と背に手を沿えてゆっくり彼女を横たえた。

何度も角度を変えて接吻ける。始めは啄ばむように、唇を甘噛みして、舌を絡める。次第に深くなる接吻で彼女の力が抜けるのを感じると体にも愛撫を加えた。か細い彼女を壊さぬように、優しく、ゆっくりと。弾力がある胸を揉みながら、肌に吸い付き所有の証を刻む。






数え切れない程の鬱血を残して、男にしては細く白い指が、春歌の秘所へとたどり着いた。羞恥からか力が入る大腿に邪魔されながらも、内壁や突起を指で弄り少しずつ密壺を慣らしていく。
入り込む指が四本になるというころ…ふと、小さな手が濃紺の髪に絡むのを感じて真斗が視線をあげる。蜂蜜のようにきらきら光るほど潤んだ瞳と視線がかち合った。


「まさ、と…くん……もう…」

掠れ、艶めいた声で告げた一言が理性の堰を決壊させた。入口を広げていた指を早急に抜き取り、膝裏に手をあてて華奢な脚を開く。そして間を空けずに張り詰めた雄を彼女の中へと埋め込む。

「ああぁ…っ!」
「っ…ハル……」

薄い膜を破る感触とともに結合部からは密とは違う、さらさらとした液体が少量零れ出る。苦しげに声を漏らす彼女の姿に心が痛むが、体は止まらなかった。何度も何度も腰を打ち付ける。痛みを堪えるかのように敷布団へとたてられた細い指をそっと外し、己の背中へと回させる。櫻貝のような爪が背へ傷をつくるのを感じながらも顔には出さない。少しでも彼女の痛みを知れれば良いと思った。

嬌声を上げる春歌の胎内が、一際大きく収縮したところで、真斗も彼女の中へと吐精した。初めての二人での絶頂に、息を整えていると琥珀の瞳からぽろりと涙が零れる。

「すっ、すまない!ハル…!」

やはり無理をさせすぎたか、と頬を伝う涙を舐めとる真斗に春歌は被りを振る。あなたの妻になれたのが嬉しいのだと、微笑んで、触れるだけの接吻けを真斗の唇に落とした。



「これからもおねがいしますね………私の、だんなさま…」



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