Dream | ナノ

 考えること

「ばきゅーん」
「………何ですか」
「え、いや、レギュの憂いの表情を写真に収めようと思ってカメラのシャッターを」
「なんか気持ち悪いので却下」
「えええ!」
「まあそれは後で焼くとして、何ですか、ばきゅーんって」
「あ、今のレギュの言い方に萌えた」
「……はあ」
「いやいやごめんごめん。なんかさ、似てない? カメラと機関銃」
「なんですかその機関銃って」
「え! 知らないの!」
「マグル製品ですか」
「そう、人に向けて撃つと死んじゃうの。武器」
「……カメラに似ていて人に向けて撃つと死ぬもの? 死の呪文でも出るんですかそれは」
「ま、そのほうが痛みがなくていいかもね」
「それが、ばきゅーんって音がするってことですか」
「そうそう!」
「じゃああなたは僕を殺したいってことですか」
「えええ……レギュは物騒だね」
「別にいいですけどね、あなたが僕のことを忘れないというのなら」
「殺しちゃったら、忘れたくても忘れられないよ」
「そうですか」
「うん、そうだよ」
「……じゃあ、人を殺したことを忘れることができるようになったら、それは、異常なんでしょうか」
「……異常じゃ、ないんじゃないかな。それがその人にとっての、当たり前だから、その人にとっては異常じゃないよ」
「難しいですね」
「そうだね」
「僕はきっと忘れていく。それ以前に知る人ではないから、忘れるも何もあったもんじゃないかもしれない」
「そう、だね」
「――僕が、駄目に、なったら」
「うん」
「………死にたくなったら、あなたのところに行きますね。だから僕のことずっとずっと想ってくださいね」
「レギュは病んでるね」
「なんとでも」
「……レギュばかだね」
「でも、嘘じゃない」
「ふふ、だから、ばかなんだよ」


 あれは冗談だったのかな。
 だって、結局君は来なかったよね。

 もしかして君は、まだ死にたくなかったから、私のところにこなかったのかな。ということは、死にたくなかったのに、死んじゃったのかな。

 うん、難しいね。
 考えることって、難しいよ。

 会いたいなあ、会いたいよ、もう、会えないけどね。




(11/10/03~11/11/17)



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