自分の個性は能力や存在価値ではなく重荷だった。 両親が、自分の人生や本当に好きな人を放り出して掛け合わせたかった個性。 受け継いだ成功例の自分。 それを持て余して生かしきれないことが重荷だった。 自分の個性を、他人の個性を気にしない日は一日たりともなかった。 いずれ自分が結婚する誰かの個性を、思った。 図々しい話だが、自分は優秀な遺伝子を持っていると思っていた。 周りの人は大概が羨むし、欲しがる個性だと信じていた。 だから爆豪くんが私を含めた他人の個性を知らないと、さも興味がないといった様子で話した時は珍しい人だと思った。 両親のせいで私は時代錯誤な考え方をしていたのだ。 本当に図々しいが、育った環境のせいで私はその日その瞬間、爆豪くんに言われるまで過ちに気付けなかったのだ。 この人は私の個性に興味がない。 気付いた瞬間、それまで視界を狭く狭くしていた暗い霧がさあっと晴れ渡っていくようだった。 そうして、急に目に入るようになったのだ。 爆豪勝己という、人間が。 20150821 親の個性婚をトラウマに持っている女の子が体育祭でかっちゃんに「お前らの個性知らねえ」と言われて救われる話 |