梅雨の時期はどこか空模様が重たくて、好きか嫌いかと問われたら、決して好きとは答えられなかった。
そんなじめじめとした季節よりは、からりと晴れた夏の日や真っ白い雪世界の日が誕生日である方がドラマがある。
雨の日を好きな人なんていないし、外へ出掛けていくのがなんとなく億劫になる気持ちもよくわかる。
そんな風に思っていたのだけれど、彼女は他の人とは少し事情が違っていた。
連日の雨のなかでも、お気に入りの折りたたみ傘を広げるたび嬉しそうにしていたし、新しいレインブーツを履きたいからと俺の手を引いて出掛けた。
彼女の前では、雨粒は何の力も持たない。
傘の隙間からその笑顔が覗くたび、そう感じた。
撥水加工のされたコートを羽織る姿はてるてる坊主みたいで可愛いと思う。
手を引かれながら、雨の日は好き?と尋ねてみた。
頬に一粒、雨粒が落ちてきてはじけて散る。

「雨の日は、孝支がいつもより楽しそうだから好きだよ」

何でもないように答える彼女は知らない。
俺の笑顔の在処は君だってこと。


菅原さんお誕生日おめでとうございます!
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