いつだって食べてしまいたいと思っている。
その白い肌も、細い首筋も、柔らかそうな頬も、桃色の唇も。
衣替えした制服を身に纏う彼女を窓際の席から見つめていた。
スカートからすらりと伸びた脚は頼りなく細い。
半袖から覗いた二の腕が持ち上がり、彼女の指先が暑そうに髪をかきあげる。
横顔がさっきよりよく見えるようになって、なんとなく目を細めてしまう。
夏服を着た彼女はまぶしい。

「月島くん、お菓子食べる?」

ふいに寄ってきた彼女が、女子が好きそうなグミの袋を差し出した。
彼女が振り返って歩み寄るまでにふわりと揺れたスカートの裾に移していた視線を気付かれないうちに持ち上げ、彼女と目を合わせた。
無邪気な笑顔。無防備とも言える。
付き合い始めてから二週間。
警戒なんてしたことなさそうな彼女を組み敷いた時、一体どんな表情をするんだろう。
やっぱり怯えるのかな。
それも悪くないけれど、どうせなら彼女にも同じように僕を求めてほしい。
彼女が欲しがるならば、こちらは遠慮なく与えるというのに。
指先を伸ばして、彼女ではなく差し出された袋に触れる。

「うん。じゃあ、いただきます」

でも、まだ駄目だ。
彼女とそういう関係になるのは、きちんと手順を踏んでから。
万全の状態で、完璧な状況で、彼女が安心しきって僕に身を委ねるようになってから。
全部が整った時に、彼女のことは僕の部屋でいただいてしまおう。

淡白そうに見えて肉食系
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