「竜ヶ崎くんってさー、電話口でどう説明するの?」 「…いきなり何の話ですか」 「電話で名前を尋ねられたとき、名前の漢字を確認されることがあるでしょう?その時、なんて言うの?」 「あまりそういう経験がないのでわからな「なになに、何の話ー?僕も混ぜて!」…面倒な輩が来ました」 「あ、葉月くん。葉月くんは名前の漢字、どうやって説明する?」 「葉っぱの葉、お月様の月!渚は間違われないしね〜」 「いいなぁ、わかりやすくて」 「ほら、竜ヶ崎くんの場合は?」 「怜ちゃんはどうなのー?」 「二人して迫ってこないでください。…竜ヶ崎なんて、ありふれた名字でもありませんし、普通に分かってもらえますよ」 「もう、投げやりだなぁ〜。怜ちゃんってば不親切!」 「確か、竜ヶ崎くんの怜って名前、『怜悧』の怜だよね?賢そうな名前だね」 「れいり…?」 「渚くんのような学のない人が相手では、余計に混乱させる喩えですね」 「あっひどい怜ちゃん!僕もう知らないからね!」 「あはは、葉月くんはいつも元気そうでいいなぁ」 「…あの」 「ん?どうしたの、竜ヶ崎くん」 「さっき、名前を褒めてくれたの、嬉しかったです。ありがとう」 「ふふ、律儀なんだね。その名前、竜ヶ崎くんに似合ってると思うよ!」 「怜」 「え?」 「もう一度そう呼んでくれませんか」 「え、えーと……怜、くん?」 「…やっぱり名字呼びでいいです」 「言い出しっぺなのに真っ赤にならないでよ、もう!」 |