「龍之介が好きそうなのやってるよ」
「え?なになに?」
「テレビ。近くの動物園でホワイトタイガーの赤ちゃんが生まれたってさ」
「おおー」
「見に行く?」
「行こう!」


「すげー!かっけー!肉食獣マジ超COOL!!」
「…龍之介、子供はこっちだよ」
「あれ見ろって!あの迫力!人間なんて一瞬で殺せるくらい強いんだぜ?うおーマジリスペクト!」
「ダメだこの男…大人の方しか見てない」
「なーほら、こっち来て!」
「はいはい」
「きれいな生き物だよなぁ」
「龍之介は豹が好きなんだっけ」
「そうそう。豹ほどじゃないけど、他にも鮫とかトラとか好きだぜ?」
「へえ」
「にしても、動物園って可愛い子供いっぱいいるよな!」
「…今日は誘拐しないでね」
「うえ、マジで言ってんの!?うわーうわー、萎えた…」
「龍之介、お土産でも見に行こう。旦那って人に買うんでしょ」
「あー、うん…うん…」
「未練たらたらな顔しないで!」


「旦那は何の動物好きかなー。なあコレどう思う……おい、聞いてる?」
「う、うわ!?びっくりしたなぁ!」
「お前がぼーっとしてたんじゃん。…なに見てたの?」
「今日見たホワイトタイガーの、ちょっと可愛いなぁって思って…はは、子供みたいだよね」
「ふーん」


「というわけで、あいつにぬいぐるみ買ってやったの」
「それはいいことをしましたね、リュウノスケ」
「いいこと?かなぁ?あれだけ見てたら買えって言ってるようなもんじゃね?」
「でも、望みを叶えてあげたのでしょう?」
「まーね。本当にオレと同い年かって疑いたくなるくらい幼いから、つい」
「そうですか」
「それより旦那!動物園には可愛い子供がよりどりみどりだったぜ!今度はあそこから攫ってこよう!」
「いいですね。…彼女はそのことは?」
「知らないよ。あいつには一度子供連れてるのを見られただけだから、誘拐癖があるみたいに誤解してる」
「妨げられることはない、と?」
「多分ね。旦那のことも普通の人間の知り合いだと思ってるよ」
「それなら好都合ですね」
「はあ…格好良かったなぁ、白いトラ」
「よほど気に入ったんですね」
「うん。また見に行きたい」
「行けばいいですよ」
「そうだね…行こうかな、あいつと」


ゆるいノリが書きたかったのに猟奇的な何かを匂わせずにはいられない雨生クオリティー。
地元に近い動物園でホワイトタイガーの赤ちゃん生まれました。見にきてね。宣伝です。
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