| ｢おや、おかえり。遅かったね｣ ｢…おお？｣ ｢目をこすったって僕は消えないけど。それよりただいま、は？｣ ｢ただいま、赤司｣ ｢いいこ。コーヒー飲むかい？｣ ｢黒いのは遠慮しとく｣ ｢ブラックじゃなくて、ちゃんと甘くしてあげるよ。砂糖二つでいいね？｣ ｢うん…｣ ｢なに？そんなにじっと見て｣ ｢赤司がうちに来るのはじめてなのに、すっかり馴染んでるから｣ ｢うん、まあ、実は緊張したんだけど。一時間もいたから慣れた｣ ｢緊張したの？｣ ｢彼女の部屋だよ、当たり前じゃないか。君は何でもないように合鍵を渡してきたけれど、｣ ｢けれど？なに？｣ ｢少し危機感が足りないね。悔しいじゃないか｣ ｢…距離が近いなぁ｣ ｢湯が沸くまでだよ。触ってもいいかな｣ ｢赤司の手のひら、冷たい｣ ｢ふ。君は子供みたいな体温だ。頬も柔らかい｣ ｢もう一人暮らししてる立派な大人です｣ ｢どうだか。僕に逆らえないのは変わらないじゃないか｣ ｢好きなら従順に、でしょ｣ ｢そう、いいこだね｣ 家着いた途端コーヒー淹れてくれる赤司が書きたかっただけ |