「あー、ごめん〜」
「…あのさ、ちょっといいかな」
「なに?」
「そのノリはさ、少しぶつかって謝る時とかの調子じゃないの?今回オプション付きなんだけど!頭から持ってるココアぶっかけといてその態度!ねえよ!!」
「ごめん、口調変わるほどだと思わなかった。許して」
「よし。…それにしてもどうしよう。びっちゃびちゃだし、すごく甘い匂いがする…」
「ね。全身お菓子って感じ〜」
「そんなメルヘンな発想は今いらない!」
「厳しいな〜。オレも残念…ほとんど飲んでなかったのに」
「そのほとんど残ってたココアを丸ごとぶちまけられた私の身にもなってみてよ」
「ごめんて。そういえばホットだ…火傷してない〜?」
「それは平気。どうしよ…事情話せば運動部もシャワー貸してくれるかな」
「え」
「しばらくジャージ生活になるけど…何その顔」
「流しちゃうの?」
「私にココアまみれでいろと?」
「もったいなくない?」
「もったいなくない。断じて。私からすれば」
「え〜」
「えーじゃないよ!ほら腕離しなさい!」
「…せめて顔のとこだけでも」
「なめるな!殴られたいか!」

彼の身長ならぶつかった相手の頭上に真っ逆さまだろうな、と。
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