「おじさん、担々麺ひとつ」 「うげ…また趣味の悪いモン頼みやがる」 「なんで。美味しいよ」 「俺は美味いと思ったことがねェ。塩ラーメンひとつ」 「好きだねぇ」 「仕事終わりはこれに限る」 「でも中也があっさり片付けちゃったから晩御飯にはまだ早いね」 「仕方無ェだろ、三下相手にチンタラ戦ってろってか?頭潰して終わりだ、仕事は早いに越したことないだろうが」 「まあね。夜中お腹空いたらコンビニに行くの付き合って」 「なんで」 「かよわい女子に付き添ってやろうとか思わないの?」 「かよわい?誰が? ハッ」 「まあこんなチビ男が隣にいても牽制にならないか…」 「あ?手前喧嘩売ってんだろ表出ろ」 「厭だよラーメンが伸びる」 「…そうだった」 「はいはい座って。コンビニ行こうね」 「おう」 「あ、ラーメン来た。わーい」 「相変わらず地獄みてェな色してやがる…」 「一口要る?」 「要らねェ!!」 「私は塩ラーメンも食べたいなー」 「……」 「食べたいなー」 「…一口なら遣る」 「わーい」 「あっ、手前の蓮華を突っ込むんじゃねえよこの莫迦!スープが赤く染まっちまっただろうが!」 「大丈夫大丈夫、混ぜたら判んないって」 「混ぜンな!あーあー、侵された…」 「ちょっと中也くん、おかされた等と大声で云うものではないよ」 「……」 「渾身の、何云ってんだ此奴顔をありがとう。まあ、私が中也の初めてを奪ったのは強ち間違いでもないか」 「……はっ?」 「十五歳の時に寝顔が可愛くてチューした」 「な、なん…ッ、手前そんなことしてたのかよ!?」 「うん」 「寝込みを襲われた幼気な当時の俺に謝れ」 「いたいけ…?私の記憶にはゴリラしかいないのだけれど」 「んだとこの糞女」 「ラーメン伸びるよ」 「おっといけねェ」 「昔の中也は可愛かったな〜」 「その胸糞悪い話を止めろ」 「判った、止める。そうだ、太宰くんにもこのお店教えてあげよう」 「な、ん、で、そこであの青鯖野郎の名前が出る!絶対ェ教えんなよ!教えやがったら此処には二度と来ねェし、手前を俺の行きつけの店に連れて行くのも止めるぞ!」 「ごめんって、冗談だよ中也〜」 「手前の糞つまらない冗談で好感度がマイナスになった」 「私は好きだけどなぁ」 「……」 「中也が教えてくれる、お店の料理」 「そんなこったろうと思ったよ!帰る!」 「あ、お会計を。ご馳走さまでーす」 |