※後味が悪い



斬島のことがわからない。
彼は私のことがとても好きなようで、一度ずっとそばにいてほしいと言われてから、恋人のような関係を続けている。
斬島は私と何がしたいのだろう。
接吻まではまだわかる。
ただ、その先は私たち獄卒にとっては何の生産性もないまぐわいに過ぎない。
すでに死んでいて、死者であるために子を成さない私たちの欲をぶつけ、疲れを増やすだけの行為。
それでも私は斬島のそばにいようと思った。
彼のことがわからなかったから。
理解しようと思ったから。
私が彼の恋人である理由はひとつ。
獄卒らしからぬ行為に及ぶ斬島に対する、好奇心。

「ねえ、斬島のことは好き?」

ある日、佐疫が私に尋ねた。
何でもないように。
しかし彼という秀才は何かがなければ他人の、ましてや親友の色恋沙汰に首を突っ込むような性格ではない。
とどのつまり、彼は親友を案じ、私を疑っている。

「ちゃあんと好きよ」

私が笑って言ったはずの言葉は佐疫にどう受け止められたのだろう。
嫌なものを見たみたいに顔をしかめられてしまった。
斬島に同じことを言えば、きっと喜ぶのに。
俺もだ、と言って指を絡めてくるに違いないのだ。
かわいい斬島。
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