今、ロビンの目の前にはメイド服を着た湊がいる。俯いたまま、肌の色が真っ赤に変わりそうなくらい恥ずかしそうにしていた。そして柔らかそうな唇を開く。
「ご、ご主人、様。失礼、します」
そう言ってロビンの隣に座り、肩に手を添えて顔をゆっくりと近づける。羞恥でいっぱいの湊を見つめていると、下がり気味だった湊の眉がさらに困ったように下がった。
「あの……目を、閉じてほしいんですが……」
「別に閉じなくてもキスくらいできるだろ」
ロビンの言葉に湊は口をつぐむ。反論せず、再び湊の顔が接近する。一瞬だけ唇が重なった。離れた唇を逃がさぬように、ロビンは唇に噛みついた。
「ん、ん……っ!ふっ、ぁ……」
ひとしきり湊の唇と舌を楽しんだ後、口の端から零れた唾液をぺろりと舐める。
「これくらいやってくんねーと困るぜ。湊も気分上がらねえだろ?」
湊は呼吸を整えている。その通りなのか分からないが、視線を逸らすだけだ。まあいい。ロビンはにやり笑ってみせる。
「今日はオレがゴシュジンサマなんだから、湊には頑張ってもらわないとな?」
そう。湊には文化祭で着ていたメイド服を着てもらって、主従関係を逆転させていた。厳密に言うと別にもうマスターとサーヴァントの関係ではないが、元は元でもマスターであったことは事実で、その癖が抜けないのだ。
ロビンは特に人の上に立ちたいと思わないが、青年より先に顔も知らぬ男が少女のメイド服を見て、少女が男に「ご主人様」と呼んだのは少し癪だった。仕事だから仕方がないし、湊なら恥ずかしがって隠すのは理解できるが、不愉快な気分に全くならないかと言われるとそんなわけはない。
またメイド服見たいなどと願ってみれば湊は8割の確立で着てくれる。だから、冗談で言ってみたのだ。他の客にしたようにオレにも奉仕してくださいよ、と。恥ずかしいからやだと即断られると思っていたが、意外にも返答はイエス。隠していた罪悪感からだろうか。
とはいえ、こうしてセックスまでしてくれるとは考えていなかった。してくれたら嬉しい程度だ。奉仕=セックスだとでも思っているのか。それはそれで楽しむだけである。
「じゃ、可愛いメイドさんに舐めてもらうか」
湊の右手首を握って自らの股間に移動させる。挿入した回数を除いてもセックスは何度もしているはずなのだが、未だに慣れていないらしく、びくりと湊の肩が跳ねた。
普段ならここでばかと軽く罵るところだが、湊は何も言わない。存外湊もこのシチュエーションを受け入れているのか。
「は、はい……失礼、します」
湊は床に座り込み、服の上からロビンのモノを撫でる。それからおそるおそるパンツを下ろす。そのまま下着に手をかけるかと思えば、下着を噛んでずり下ろした。男性器が湊の頬に当たる。その構図はまさしく男の性欲を煽るもので。
どこでそんなもん覚えたんだ。またネットの謎知識か?湊は大抵ロビンの愛撫に翻弄されているくせに、たまに手慣れてるような仕草をするものだから困る。
そんなロビンの思いなど露知らず、湊は唾液で十分濡らした竿を擦りながら亀頭を舐めている。
ロビンが教えたおかげか、それともどこぞの女狐にでも教わったせいか、はたまたやはりネットの知識か。最初に比べたら随分ましになった。
「んぐ……ふうっ」
「そうそ、イイぜ、湊」
懸命に咥える姿は可愛らしい。優しく頭を撫でてやると湊が嬉しそうに目を細めた。それに胸がきゅんと音を立てる。
しかしこれはこれで手持ち無沙汰だ。せっかくそこそこ回数をこなしてきたし、今は自分の方が立場が上だし、好きに触っても問題ないだろう。
「っ、やっ!ちょっと……!」
「オレの咥えてるの見てんのもいいけど、暇なんでね。ほら、逃げんなっつーの」
軽く屈んで湊のシャツを肌蹴させる。すぐに白い下着が顔を出した。手を滑り込ませて胸を揉む。
「ご主人、様……やりづらいので、やめてください」
「やりづらいだけだろ?頑張れ頑張れ」
湊は抗議の眼差しを向けるが、諦めてさらに距離を縮めた。
「ふ、ん、ふうっ」
胸全体から先端へと変える。指先で軽く触れたり、撫でたりしていくうちに湊の声音が変化してきた。
「ん……むっ、はぁ……ろうれすか?」
湊がロビンの責めに耐えつつ丁寧に奉仕していくものだから、流石に射精感が上ってくる。
「っ、湊、出るから離していい……っ」
このまま頭を掴んで出してしまいたい気持ちを必死で抑える。湊は出てくる液体を零さないように先を小さな手で包み込んだ。一旦収まったところで、湊が両手を広げた。手の平に粘ついた精液がかかっている。それを呆けた目で見つめ、湊が呟く。
「いっぱい……」
そう言われると何だか恥ずかしい。ロビンは誤魔化すように傍にあったティッシュを渡して拭き取らせる。その隙にヘッドボードにもたれつつ脚を伸ばす。
「湊。オレに跨って下見せてみ」
「えっ」
ティッシュを捨てた湊が目を開く。あからさまに慌て出す様は初々しい。
「早く」
柔らかな口調で言いつつも、目は鋭い。有無を言わせぬ主人にメイドは観念したようにベッドに上った。
「スカートめくってみ」
「……は、い」
おずおずとスカートをたくし上げた。現れたスカートの中に、ロビンが顔をしかめる。
「おいおい、こんなの文化祭で履いてたのかよ」
清楚なはずのメイド服の中身は、いわゆるガーターベルトがあった。とても扇情的だが、明らかに喫茶店にいるメイドには相応しくない。
ロビンの言葉に、湊はただでさえ赤い頬をぼんっと爆発させた。
「これ、は、その……何故かついてて。でも、私は恥ずかしすぎて履いてなくて……っ!」
少し声を荒らげた湊は涙目だ。そりゃメイド服で恥ずかしがってるんだから履くわけないか。
と、そこで思い至った。そしてにやりと笑ってみせる。
「つまり、オレのために履いてくれたわけか」
そうとしか思えない。喜んでくれるか、どんな反応をするか。そういったことを考えているのは想像に難くない。
青年はガーターベルトの紐を軽く引っ張って少女へ色っぽい眼差しを向ける。湊はその視線にスカートを握る力を強くさせ、体を震わせる。そして、震えた唇を開いた。
「……こういうのは、嫌い、ですか……?」
怯えるような声音。前回のベビードールのように引かれていないか不安がっているのだろう。
何度も言うが、女に耐性があっても青年は不能ではないし、エロい格好をした女が嫌いなわけがない。それが大事にしたい少女ならばなおさらのことである。
青年は口元を緩めた。
「いいや?初心な湊がオレのためにまたエロいの履いてくれたんだ。イイに決まってんだろ」
羞恥だらけだった湊の顔に喜びが混ざる。その反応に萎えたはずのモノが再び熱を戻していくのが分かった。
「ってなわけで、もっと見せてくれよ」
ロビンは脚を人差し指でなぞる。膝の位置まで下ろし、今度は上へ上っていく。布の中央に辿り着くと、敏感な部分を撫でる。分かりやすく湊の体が動いた。
「ここ弄られるの好きだよな」
「そんな急に、あ……、や、パンツ汚れちゃ……」
「どうせべたべたになるんだからいいだろ」
秘部を擦り、勃ってきた豆を小さく弾くだけで声が砂糖に変わっていく。
「嫌ならやめるけど?」
いやいや言うならやめるだけだ。指を離す。湊が驚きをこぼしたのをロビンは聞き逃さなかった。湊は物足りなさそうに脚を動かしている。ロビンは何も言わない。
懇願の眼差しを向けるものの、動きがないことを察したらしい。湊は唇を噛み、意を決したようにするりと下着に手をかけた。恥ずかしいのかゆっくりと下着を下ろしていく。下着から粘ついた糸が引いている。汚したくないから脱ぐ作戦のようだ。ゆっくり脱ぐ方が恥ずかしいと思うのだが、気付いていないのだろうか。
「……あの。お願い、します」
ねだりながらもあくまで下手の口調。潤んだ夜の瞳。スカートがめくられて丸見えの下半身。唾を呑みそうになるほどめちゃくちゃエロい。
お嬢、案外このシチュエーションを楽しんでるんじゃねーの?とロビンは疑問に思ってしまう。まあ両者得するなら問題なしだ。
「ん、あっ、ぁん、」
お望み通り再開してやる。今度は指を挿れて。ロビンが中の浅い天井を弄ってやると湊の腰が引く。
「あ、あ、」
「もっとこっち寄れよ」
「や、あっ、ご主人様……っ」
ふるふる体を震わせ、吐息を漏らす。指を出し入れしていくうちに湊の目がとろけていく。軽く敏感な部分を二本の指で挟んでやるとひときわ大きく反応した。
一旦指を離すと粘ついた愛液でべたべたになっている。見せつけるように目元に持っていった。
「湊のでべたべただな」
ロビンの言葉にまたかあっと赤くなる。にちゃにちゃ音を立てて余計湊の羞恥を煽らせる。そのまま湊の口元に移動する。
「舐めてみ」
目を泳がせて逡巡させていたが、意を決して舌を出した。そのまま口の中へ突っ込んでやる。そういえば前も指を舐められたな。あれは湊が自分から舐めていた。そのときも頬を赤らめて吸ったり舐めたりしていたが、あのときより随分官能的に見える。何回もセックスしたからだろうか。
「ん、んむ、ふ……んっ」
「美味いか?」
「美味しくはないです……でも、」
そりゃそうだ。心の中で同意するも、言葉が続くようで口を閉じる。
湊がそっと唾液と愛液でべったりしたロビンの指を握る。その握り方は赤ん坊が感触を確かめるようなもので、少しくすぐったい。
「ご主人様の指は好き……」
そうこぼした瞳はひどく甘く、同時に優しい。純真無垢な愛を向けられた気がして、心臓がどきりと跳ねる。本当、いつもはばかばか照れているくせに、ふとしたときにロビンの胸を甘酸っぱく切なくさせる。ここで自分が照れてどうする。ロビンは息を深く吸っていつもの調子を取り戻す。
「指だけ?」
「……意地悪しないでください」
「分かった分かった。じゃ、湊が動いてくんねえ?」
「え」
湊はむすっと幼子のように睨みつけていたが、ロビンの言葉を聞いて目を大きく開いた。今までロビンが挿れて動いていたので、そんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。戸惑って口から言葉になっていない声がぼろぼろこぼれている。予想通りの反応にロビンは艶っぽく目を細めた。
「今日はオレのメイドさんなんだろ。思いっきり乗っていいから」
「…………はい」
すでに硬くなった男根に触れて腰を落とす。助けを求めるように見つめるものの、ロビンは黙ったままだ。観念して自分で何回か試行錯誤していくうちに、上手く秘部に先端が入った。
「んっ、あ……入った……っ」
息を吐いて徐々に挿入されていく。全部入ったところで体重がかかる。
湊がロビンを恥ずかしくてたまらなさそうな上目遣いで見ている。それでもやはり口を閉ざしたままにしておく。唇を結んで下半身へ視線を落として耳まで顔を赤くさせ、またロビンへ目を向ける。その様子はひどく可愛らしい。
どうやるのか分からないようだったが、しばらくして腰を上下に動かし始めた。
「あ、あ、はぁっ、あっ」
熱い吐息、汗でしっとりした脚、揺れる胸、よく見える結合部。興奮してくるが、少し刺激が弱い。いいと思ったら少し離れる、そんな状態が続く。腰を動かす湊を見ているのもいいが、さすがにつらくなってきた。
ロビンは湊の脚を持ち上げて攻守逆転させる。
「焦らすの得意になったとか初めて知ったぜ」
「ち、ちが、あ……っ!」
とんと奥を突くと中がぎゅっと締まった。体を揺らして長く息を吐いている。一瞬トリップしたようにも見える。イったらしい。何回でも達していいとは思っているが、本心は言わずに耳元で囁く。
「主人の先にイっちまうのかよ」
「ごめ、ごめんなさ……、でもきもちい、……あっ!」
涙が頬を伝ってシーツへ落ちる。生理的な涙なのは分かっているはずなのに、嗜虐心が疼く。
肉と肉が当たる音がする。だいぶ回数を重ねているので今更だが、隣に聞こえていやしないだろうかと不安になる。面白ドラゴン娘の歌声やショートカットの赤髪女の拳よりもひどいものはないと信じているが。ただそれよりも今は少女の息遣いや体温の方に集中してしまう。
「あ、はぁ……っ、あ、あ、そんな奥、突いちゃ、」
無視して奥を突く。女の嫌はいいの間違いなのだ。実際湊は気持ちよさそうに喘いでいる。豆を摘まめばひときわ大きな声が出た。
「そこ、かんかくとんじゃっ、あんっ!」
濡れた声を耳の近くで出されると股間に響く。そろそろ耐えられそうにない。緩急つけていた動きを速める。
「ぅあ、はぁ、あっ、またイっちゃ、あ……っ!」
「湊……っ」
「ん、ん……っ」
もう一度締まる。もう一突きしたらロビンも快感が出てしまいそうだ。が、そこで我に返る。このままだと中に出してしまう。そういえばゴムをつけていない。慌てて抜こうとするものの、締まりすぎて上手く抜けない。どうにか解放された直後、剥き出しの腹に白い液体をかけた。二度目だというのに随分な量が出ているのが恥ずかしい。
放心状態だった湊がゆっくりと上半身を起こす。もうメイドごっこは終わりらしい。
「……ロビン、なんかノリノリだったね」
「そりゃーオレに下手なお嬢とか新鮮ですし?つーかノリノリなのはお嬢の方でしょ。ご主人様とか何度も言っちゃって」
「そ、そういうシチュエーションだからしょうがないでしょ!」
「へいへい」
適当に相槌を打つ。湊はまだ不満げに顔をしかめていたが、少しして視線を乱れたシーツに落とした。
「ロビンは、こういうの好き?」
少女はいくら恥ずかしがろうと最終的に着てくれる。もちろん最終防衛ラインはあるだろうが。
それは全部自分のためで、青年のためだ。可愛いと褒めてほしくて、喜んでほしくて。面倒くさいけれど、顔を隠して生きてきた自分が貰うものではなかったから。甘酸っぱい少年みたいな気持ちは生まれなかったから。青年は穏やかに目を細め、答えてやる。
「特別好きってわけでもねえけど、嫌いでもねえ」
「……ふーん」
そう。ほんのり桜色に頬を染めた少女に、青年は可愛い、と言ってやった。いつも通りの言葉が返ってきたが、それでも口元の緩みはすぐに戻りそうになかった。
はじめてのご主人様とメイドプレイと騎乗位。緑茶がなんか変態くさくなっていますが完全に私の趣味です大変申し訳ありません。コスプレイ好きで……。個人的には主人とメイドというか、同じ使用人同士って設定のがしっくりくるのでパロで書いているかもです。
正直緑茶は特殊プレイするイメージがないんですが、これからもそういう話を書くので自分と殴り合っています。
次は買い物デートか、喧嘩する話か。とりあえず原作にはない話の予定です。
タイトル配布元:mjolnir