EXTRAアーチャーと手つなぎ
部屋にいて、学校の中で、街中で、どこでもいいけど、さりげなく手を繋がれると少し怖くなる。心臓の鼓動が、感情が、全部相手に伝わっているんじゃないかと。
手を繋ぐ以上のことを何度もしてるっていうのにバカみたいだ。幼稚園生だって手を繋ぐくらい余裕でするし、何ならませてるならキスだってしているかもしれない。何の恥じらいもなく。
最初に自分から手を繋いだ時よりは慣れた。慣れたけど、他人の、異性の、好きな人のぬくもりを感じるのにどきどきしないなんてできない。
「……たまに自分から手に触ってくるくせに、なんで黙るんだよ」
「それは……繋ぐっていうか、触るだし。なんか違う」
「はあ。お嬢の恥じらい度がよく分からん」
と言いながらも手を離さない。部屋だから随分距離が近い。たまに部屋じゃなくても距離が近いときはあるが。
余裕なロビンにむっとして、名無しは空いている右手で繋がれているロビンの右手を撫でる。細いが名無しよりは太い指をしていて、ごつごつしていて、名無しより温かい。
「こういうのは何の躊躇いもないよな、ほんと」
「……嫌?」
そう呟くと、ロビンは呆れたような意地悪そうな優しい微笑みを浮かべる。
「いーや?お好きにどうぞ」
ぎゅっと胸が痛くなった。好きにしていいと言われたので、名無しは好きに触れることにする。
大好きな人が大好きな人と手を繋ぐのが、見つめ合うのが、微笑み合っているのが好きだった。乙女だの何だの言われても仕方ないけど、お手本のような人たちがいたから、そうなれたらいいと思ったのだ。
それが叶っているのだから、IFの世界でも死後の世界でも何でもいい。
ちびちゅき時空です。