マンドリカルドがEX弓を見かける
※FGO夏イベント「夏の御山の四天王」後です。
坂田金時、俵藤太、ロビンフッドと食事して別れた後、マンドリカルドは探索がてら散歩していた。夜なので危険もあるが、今のところ一人でも対処できないこともない。涼しい山の空気が心地よい。できるならマスターと一緒に過ごしてみたかったが、あちらは多忙で他のサーヴァントとの付き合いもある身。いくら友達とはいえ、そう一緒にもいられないのである。
若干の悲しみと疲労のため息をついた後、突然誰かの気配を察知した。同じサーヴァントの魔力の流れ。こちらに敵意はない。カルデアのサーヴァントか。誰だろうか。確認しようと木陰に隠れる。そして数メートル離れた道へ少し顔を出し、ちらりと覗く。
「夜も涼しいね、ここ」
「山だからな。海よりは森のおかげで涼しいでしょ」
「確かに。でも私は山より海派だなー」
「オレは開けっ広げなフィールドは苦手なんで、そこはお嬢と好み違いますねえ」
「ロビンは森の狩人だもんね。でも海も楽しかったでしょ」
「否定はしませんけどね」
ロビンフッド、と一人の少女。誰だろうか。不思議に思ったが、二人の間は和やかで優しい空気が漂っており、すぐに察した。彼女か。ロビンフッドは明らかに女慣れしていそうな風貌と社交性だったのでいてもおかしくはないが、少女はマスターと同じ日本人のように見える。
そういえば「概念礼装」とやらも具現化して生活していることもあると聞いた。あの少女もその類なのだろうか。
「でもいつも海だし、キャンプっていうのもいいかも。やったことないし」
「お嬢結構やったことないもん多いっすねえ。友達いなかったから?」
「うっさいなあ、もう!」
ロビンフッドの余計な一言に少女は目をつり上げる。とはいっても幼い子供が怒っているようで圧は感じられない。実際すぐに顔を和らげる。
「でもね、ロビンとかアタランテとかエリザとかと今までやったことないことやれて……今、すっごく楽しいよ」
少女の顔に甘い笑みが広がる。夜なのに森の木陰に差す日差しのような優しい微笑みだった。それを見たロビンフッドも口角を上げ、穏やかに目を細める。
「そいつは良かった」
二人の笑みを見て何だかマンドリカルドの胸の中がひどく甘くなっていく。けれどもカロリーの暴力が襲ってきたわけではなく、小さな砂糖菓子の可愛らしい甘さがぽとぽと落ちていく感覚。カルデアの夫婦サーヴァントとはまた違う優しさと甘酸っぱさだ。
恋人の逢瀬を見てしまった罪悪感と羞恥心で顔の熱も上がる。マンドリカルドはゆっくりと、けれども素早く逃げるようにその場を離れるのだった。
イベントを見て、マンドリカルドにリア充というか恋人だなあって思わせたかっただけです。