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テーマ「推しとの恋」
- ナノ -
猫派だけど荒神先輩は好き
「あ、可愛いー」

名無しの表情が一気に溶け、どこか甘い声を出した。目線の先には猫に似たバディモンスター。覇気もなくロウガには全く興味がないが、どうやら名無しにはとても魅力的に映るらしい。

「……猫が好きなのか」
「猫、可愛いんだもん。くりくりした目とかしなやかな体とか好きだなー。撫でて癒されたい」

かわいー。何度もそう言っては愛でるような眼差しを向けて微笑んでいる。それを見てロウガの胸が少しざわつき、虫の居所が何故か悪くなった。

「うちにいるのって可愛げないのばっかりだしなー。性格の悪い悪魔と鳥とか、脳筋な狼二匹だし」

名無しのバディは確かに「可愛い」からはかけ離れた奴らで、癒しなどとは無縁だろう。ロウガもケルベロスもそんなもの欠片もないし不要だ。

「俺は男だ」

そう言うと、名無しはちょっとおかしそうに笑ってから、

「分かってるよ」

ひどく大人びた表情を浮かべた。
どこか甘い瞳に体温が上がる。夏でもないくせに体が熱い。夜の目を見つめることができずに逸らす。

「最近はね、犬も好きだよ。犬っていうか狼かな。別に癒されないし無愛想だけど……私は好きだな」

そして名無しの言葉が続く。
不愛想な犬。明らかに限定されている。ケルベロスを差す言葉と思えない。顔をしかめると、名無しの眉が軽く上がっていた。

「……分かってよ、ばか」

赤らんだ頬と少し潤んだ目にどきりとする。それでも分からず、ロウガは無言を貫く。隣でもう一度ばかと罵倒された。




夢主は猫派だけど狼=荒神先輩は好きだよという話。ケルベロスが嫌いというわけではないですが。
私の書く荒神先輩は察しがだいぶいい人になっているのでアニメ通りに鈍く……。
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