お前を喰らう愛と熱病
「お邪魔して、ます」
休日、部活が終わってまっすぐ家に帰った。玄関を開けると知らない靴。でも最近見たことのある靴だ。リビングに行くと、名無しがいた。驚く俺に、ぺこりと頭を下げた。
「……どうしたの?」
「京治君、疲れてるだろうから精のつくもの持ってこうかな、って思って。でもまだ帰ってなくて、お母さんに会ったんだけど、家で待ってなさいよって言われたから……」
何してくれてるんだ母さん。グッジョブ。
「渡せたらそれでよかったんだけど、でも留守番頼むわねって言われちゃって、待ってたの」
ということは、今家には誰もいないのか。すぐにやましい気持ちになった俺は悪くない。名無しはやたら俺を褒めたたえるけど、俺だって男子高校生なんだ。好きな子と誰もいない屋根の下で一緒なんてシチュエーション、むらむらするのは当たり前だ。
「じゃあ、私、帰るね。疲れてるだろうから、長居しても……」
「名無しは俺と一緒にいたくないの?」
席を立つ名無しに近付いて抱き寄せる。顔が赤くなったであろう彼女は変な声を出した。
「え、あの、その、」
「俺は一緒にいたい」
ただでさえ練習でどこにも連れて行けないし、時間を作ってやれないんだ。むしろ名無しと癒される。
頭が沸騰していそうな名無しは、可愛い。このまま甘い言葉でも何でもかけてどろどろにしたい。
ふと、外にあまり出ていない白い喉を見た。そこに視線を奪われたまま、唇を押しつけた。
「けっ、京治、くん……」
恥ずかしくなったのか、もう諦めたのか。彼女は俺のジャージを掴んだ。熱っぽい声に、こっちが期待してしまう。
何度も印をつけるように、喉元にキスをする。そのたびに体をびくびくする。ああもう可愛いな。さらに愛おしさが増していく。
「母さんが帰ってくる前に部屋行こう」
ようやく名無しを解放した。彼女はすでにできあがってしまったのかというくらい、真っ赤になっている。それでも俺の手を握っている。
「京治君、なんか、今日、変だよ」
何を言っているんだろう。俺は、いつだってこうしたいって思っている。どこにでもいる男子高校生だ。
「俺はいつもこうだよ」
今度は唇にキスをして、名無しを部屋まで連れて行った。
私は赤葦さんをどうしたいんだろうと常日頃思います。夢見ますよ夢ですから!!
タイトル配布元:リラン様