突然だけど私は平々凡々だ。
特に絶世の美少女というわけでもなく、スタイルがいいわけでもなく、頭がいいわけでもない、普通の女子高生(笑)だ。あえて言うなら二次元オタクってところか。かと言って非日常に夢見てるわけじゃない。むしろ面倒事、ダメ、絶対。がモットー。
なのになんであの人は私につきまとうんだろう。
「よ、名無し」
ほら、今日もあの人が話しかけてきた。
「……どうも、東条先輩」
東条ウラジ。イソギンチャクを思わせる髪型、バンドにゴーグル、ネクタイは首に巻いただけで肩も腹も出してる。いくら今が夏でクソ暑いとはいえ、露出狂にしか見えない。
どう考えても近づきたくない変人度100パー。何故私みたいな平凡オタ野郎と交流しているのか全く持って謎だ。
以前天使の星南トウカといて出会って、そこで会話して以来声をかけてくる。口滑らせまくったのがいけないんだろうか。クソッ、あのときの私をブン殴りたい。
「なんだよ、お前、いつも嫌そうな顔しやがって」
「先輩の気のせいじゃないですか?」
嫌になるに決まってんだろーが。この人のせいで私のこと知ってる人がいっぱいいんだぞ。変人と付き合って目立つとかマジ勘弁。
早くどっか行ってくんねーかな。そんなことを思っていると、ふと先輩が目線を下にやって言った。
「お前さぁ…スカート長くね?」
「セクハラで訴えますよ先輩」
何だと思ったらそこかよ!どこ見てんだこの野郎。
「他の女に比べて明らか長いだろ」
「別に私の脚なんぞ何の価値もないんで…つーか私のミニスカとか誰得」
「少なくとも俺は得するけどな」
「先輩本気で言ってるんですか?」
何言ってんだこの人…美脚でもないのに誰がんなことするか。っていうか皆短すぎだよね逆に。パンツ見せたいの?ならスカート履くなよ。
呆然とする私に先輩はあっさり言い放つ。
「好きな女のミニスカくらい見たいだろ」
……私がこの人を苦手とする理由はこれだ。私を好き?嘘と冗談としか思えない。ざんぷ毎週買っては茨木さんまだか…ってがっくり肩落とすような奴なのに。こんなオタ女、東条先輩みたいな人が好きになるなんてありえない。
だから今日も適当にあしらっておく。
「つまり女なら誰でもいいと」
「ちげーっての!ったく、いつになったら信じんだよ…」
「いや、信じるも何も冗談ですよね」
そう返したら東条先輩が顔をしかめて尋ねた。
「…お前、鈍いって言われねーか」
「どうでもいいと全然知らないよねってよく言われます」
ぶっちゃけ東条先輩とか西園寺先輩北方先輩も全然知らなかったです。ええ。
私のセリフにため息をつく先輩。何なんですかその哀れんだ目。
「あ、じゃ私先生に書類渡さなきゃいけないんで」
「え、あ、おい!」
先輩が制止の声をかけるけど長い間構ってはいられない。私、変人ダメなんで。これくらいの交流で勘弁してください。
「イソギンチャクヘッド、また小鳥ちゃんにフラれたの?」
「うるせえこますぞ西園寺。フラれるどころか気づいてすらいねえよあいつ」
なんて会話、平凡生活に戻りたい私は知らない。
イソギンチャクヘッドが好きすぎて書いてしまいました/(^q^)\ ほとんどの方知らないですよね7巻で出ます。
でもヘタレや…!イケイケイソギンチャクにならなかった。でもカニ先輩とかぶるからいいか。海洋生物が好きすぎて生きるの辛いです。
急展開で行きます。はい。