「へー、バイト始めたんだ」
トッポをさくさく食べていると、夏樹が三人でバイトをすると言ってきた。夏樹、ハル、真田君で井上さんのお手伝いをするんだって。夏樹は前からしてたけど。
「何で?」
「その、道具買おうと思って…でも金、ないし」
なるほど把握。何かしら始めるときってお金かかるよね。私もスパイスとか集めるの困ってしょうがないもん。まあバイトの店長さんとかに貰うんだけど。優しすぎる。
「歩ちゃん、すっごくいい人!」
「だな」
ハルの言葉に夏樹が頷く。確かにいい人だ。……正直あの人のノリあんまり好きじゃないけど。私は海咲さんのさばさばした性格の方が好きだ。
「名前も日数増やすのか?」
「うん。水曜と金曜は一日で、月曜と土曜は午前中やるつもり」
「苗字さんもバイトしてるの?」
「釣りの!?」
「違う!レストランとケーキ屋」
「そういえば料理するの、好きだって言ってた…」
「うん」
料理人になりたいとまでは言わないけどね。作るのはすきだから、結構専門的なことま手を伸ばしてる。そこでハルは綺麗な緑の目を輝かせた。
「名前の料理、僕も食べたいっ!」
「あ、俺、も…」
「えっ」
ハルはともかく、真田君も?いや前作ってあげるって言ったけどさ。そんなに期待されても困るぞ。嬉しいけども。
どう答えていいか分からない私に、夏樹があっさりと提案する。
「名前の料理うまいぞ。作ってやれよ」
「夏樹食べたことあるの?ずるいー!」
ハルは唇を尖らせ店のテーブルを叩く。やめれ。……しかし、夏樹が他の人に私のことそんな風に話すって、変な感じ。学校じゃうるさいくらい囃したてられたことあるから、あまり喋らないし。でも悪い気はしない。
「まぁ、いいけど。水曜と金曜は一日だから、それ以外ね」
「じゃあ、火曜に昼作ってもらおうぜ」
「明日ってこと?」
「やたっ!名前の手料理っ!」
ハルは立ちあがって跳ねた。それを見て、不思議と口角が上がった。少し、張り切っちゃおうかな。
魚群の見る夢
あんまりユキとおしゃべりできませんね…何故だ。夏樹は幼馴染だから話しやすくて、ハルはがんがん壁スルーするので話すし。前の話で話しかけやすくはなりましたが。
次は山田の話です。なんか書いたら長くなりました。