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きみの知らないロジック

谷裂とかいう坊主頭の獄卒が、私は嫌いだ。

会えばじろりと睨んでくるし、勝手につっかかってくるし、私がやった方がいいことを奪っていく。本当に何なのか理解ができない。

なのに、周りには不愉快極まりないことを言われる。

「ふうん、俺は賀髪と谷裂、合うと思うんだけどなあ」

そう、こんな風に。
のんびりと言われても、全く嬉しくない。睨みつければあははと笑うだけだった。木舌さんのこういうところが、私は嫌いだった。何か見透かしているような笑みが、気に食わない。

「どこがですか?」

「だって二人とも真面目だし、しっかりしてるし、頑固だし、ストイックだし、容赦ないし」

確かに谷裂さんの仕事に対する態度や、自分の考えを貫くところ(ただ人の話も聞いてほしいですけれど)、罪人への容赦のなさ、己にも他人にも厳しいところには好感が持てる。でも、馬が合うかと言われれば、違う。むしろ合わない。

「似ているからと言って合うとは限らないでしょう」

「賀髪が谷裂嫌いなのって、同族嫌悪?」

「誰が、誰と?」

もう一度彼を睨む。武器に手をかけると、慌てて降参の意を示した。

これから仕事に行くというのに、苛立たせられた。早く終わらせて気持ちを鎮めさせたい。

「でも、知ってる、賀髪?」

「……何がです?」

もう無視しようとしたところで、また木舌さんが話しかけてきた。にやにやしていて、癇に障る。本当に刺したい。

「谷裂と一番喋るのは賀髪だし、一緒にいるのも賀髪なんだよ」

「……はあ」

「どうでもよさそうにしないでよ」

「実際どうでもいいです」

本当にどうでもいいことだった。でも、少し苛立ちがなくなったような気がした。何故かは分からないけれど。



賀髪とかいう長髪の女獄卒が、俺は嫌いだ。

会えばじろりと睨んでくるし、勝手につっかかってくるし、やたらと挑発してくる。本当に何なのか理解ができない。

だが、周りはとんでもない解釈をしているらしい。

「ふうん、俺は谷裂と賀髪、合うと思うんだけどなあ」

そう、こんな風に。
呑気に言っても全く嬉しくなどない。木舌のそういうところが、俺は嫌いだった。飄々と、何でも分かるといったような空気が気に食わない。

「どこがだ」

「だって二人とも真面目だし、しっかりしてるし、頑固だし、ストイックだし、容赦ないし」

確かに賀髪の仕事に対する態度や、己の考えを貫くところ(ただ俺が言うと受け付けないのは何なんだ)、罪人への容赦のなさ、己にも他人にも厳しいところには好感が持てる。だが、馬が合うかと言われれば、違う。むしろ合わない。

「似ているからと言って合うとは限らないだろう」

「谷裂が賀髪嫌いなのって、同族嫌悪?」

「誰が、誰とだ?」

もう一度奴を睨む。武器に手をかけると、慌てて降参の意を示した。
これから仕事に行くというのに、全く、こいつは呑気な奴だ。さっさと終わらせて気分を晴らすか。

「あのさあ、谷裂」

「……何だ」

もう無視しようとしたところで、また木舌が声をかけた。面白そうに笑いやがって、金棒で叩きつけてやろうかと思う。

「賀髪、冷たいけど美人だからさ。そんな態度取ってたら、他の奴に取られるんじゃない?」

「……何の話だ」

「いや?何でもない」

本当に、こいつは気に食わない。



谷裂と賀髪はお互いが嫌いらしい。でも本当に嫌いなら、話したりなんかしないと思うんだ。あの二人の性格なら、余計。仕事以外で絶対に話さないし干渉もしない。それでも関わるのは何かあるからとしか思えない。少なくとも俺はそう思う。

賀髪に谷裂と一番いるのは賀髪だと言ったら、かなり分かりにくいけど雰囲気が柔らかくなった気がした。谷裂に賀髪取られちゃうかもねなんて言ったら、あからさまに空気が刺々しくなった。


あの二人、お互いのことに気づくのはまだまだ先なんじゃないのかな。俺は俺で楽しく見させてもらおうかな。殺されない程度に。



からかう木舌と分からない二人でした。
タイトル配布元:リラン様