谷裂と喧嘩(と書いて殺し合い)するほど仲が悪い美女とのお話、いかがでしたでしょうか。最初は何も考えずに「谷裂と仲の悪い女ってサイコーじゃん!」くらいの雑な思いで書き、いわゆる「ケンカップル」で終わる形になりました。ですが谷裂のことや夢主(以下賀髪)のことを考えるたびに「この二人、付き合うか? いや絶対付き合わないわ」となり、書き直したい書き直したいと思っていたところで、「書こう!」と決心しました。
私生活のストレスや怠け癖が大きく、完全に自分用でしかない本なので当初出すはずだった予定から本当に大きく狂ってしまっていますが。なんか舞台とかも決まって一週間ほど上演されましたし。正直全くというほど二.五次元に関心がないのですが、某笑顔動画で合法的に見てみたらすごく良かったです。演じてらっしゃる役者さんとかより世界観づくり演出に注目してしまいました。DVDも買いました。
六年以上もたって続編が出たわけでもないのに獄都新聞は続いているわ新規絵は出るわグッズは出るわ舞台になるわ、天国でしかないですね。
獄都事変の出会いは正直覚えていません。何となくプレイして、設定やキャラクターが良いなと感じていたことくらいしか残念ながら記憶になく。更新はまちまちにもほどがありますが、それでも五年以上も続いてるのは我ながらすごいと思います。大体別離・約束・再会・初恋みたいな甘いのばっかり書いているので、別の味を楽しんでいるような感覚なのかもしれません。
実は最初は斬島が一番好きでした。しかし、「谷裂が女と喧嘩しまくってるのいいなあ」と思いついてから谷裂のことを考えるようになり、彼の魅力に気付いて獄都事変の中で一番好きな存在になっていました。分かりやすくイケメンではありませんが、生真面目で強く勤勉で努力家、なんだかんだ面倒見は良く獄卒の中だと苦労人。イケメンというより男前ですね。好きです。
谷裂と喧嘩するような女の子ってどんな子だろうか。不真面目な子? 明るく猪突猛進だと平腹と被ってしまうし、怠惰なだけだと田噛と被る。やっぱり真面目な子? 真面目天然ボケは斬島がいる。そもそも谷裂が恋やら愛に現を抜かす獄卒に思えないし、そもそも獄卒に恋愛感情とかしっかりあるんだろうか? 谷裂は女だろうが変わらず接する気もする。冷徹とも言われているので、喧嘩するんだったら色んな意味で強い女の子じゃないとダメだろう。谷裂は坊主頭で精悍な顔つきなんだから、見た目は髪長くて美女にしよう。仲悪いけど戦闘的な相性はいいと面白い。そんな感じで最初の話が組み立てられました。
谷裂が話す女性はキリカさんかあやこちゃんしかおらず、しかも二人とも世話をしてもらっている立場であるからか若干柔らかめっぽいのですが、同じ獄卒ならどういう態度なんだろうと疑問です。多分おそらくあまり変わらないのではないでしょうか。そう信じます。
「氷の女」イメージなので斬島よりも表情筋が動かないのですが、ほんの少し出した獄卒少年・凍堂君も同じように表情筋が動かないという子で、書きながら三人も無表情(といいながら感情はある)がいるなと思いつつ、すごく好きなので出してしまいました。
そんな風にいろいろ考えたものの、賀髪は完全に私の趣味になってしまっています。クール(短気ですが)で美人で髪が長くてさらさらで胸が大きくて強い。「男より強い女」、あまりにも好きすぎて……。
公式で「館には男しかいない」と明言されていますが、女性獄卒はどこにいるのか、そもそも一緒に活動するのかなど分からず、というか分かっていたとして話の前提が大きく崩れるので変えまくっています。
各タイトルについて。
「喧嘩するほど仲が悪い」。二人がどんな関係なのかという話。もっといいタイトルを思いつきたかったです。
「出会いは鮮紅色」。佐疫目線の出会い。あるアニメのタイトルが好きでオマージュ(オマージュ?)したのですが、語呂が悪いですね。獄卒なり立ての頃は今よりもっと少年という捏造をしています。原作者のリンネ堂様からのブログからお好きなようにとのことだったので好きにしました。
「閻魔のまにまに」。災藤さん目線の二人。災藤さん夢でもないのに恋人に見られる描写とかどうなんだろうかとも悩みましたが入れました。
「高潔なる矜持を祈む」。斬島目線の二人。上司二人を除いて獄卒目線の二人+日常で構成しているのですが、佐疫単体にすると出会い編が収まり悪いなと思い斬島と一緒になりました。私服に関してはグッズの絵からです。初見、「谷裂なのになんかオシャレでは!?」とかなり驚きました。ファッションにあまり頓着なさそうなので。
「憎悪と敬慕のあいだ」。平腹と田噛目線の二人。ギアラ出せば良かったかなと今思いました。夢主は仕事は迅速にかつ求められていたもの以上に成果をあげますが、終わったら自分の思うように過ごして任されたこと以上は基本しないタイプです。木舌編での比較とも少し絡めたかったので、谷裂は出していません。
「獄卒心理学上級編」。抹本目線の二人。先に掲載していたものから内容自体は変わっておらず、加筆修正した形です。先生や水銀さん、紅薔薇ちゃんも出せば良かったかなと二度目ですが今思いました。
「酒にまほろば」。木舌目線の二人。これも加筆修正ですね。木舌も獄卒たちの中でもかなり強いと思いますが、二人は意地だけで勝ちました。獄卒たちの中だと仕事で一番谷裂と夢主といるだろうと勝手に考えています。オリジナルの凍堂は木舌に「夫婦みたいだね」を言わせたい+単純にこういう幼い少年が大好きなだけで出しました。ネームドキャラもモブも読者が混乱するのであまり出さない方がいいと理解しつつ。すみません……。
「ふたり、ゆめうつつ」。酒を飲んでやらかすの書きたすぎてどうしようもなかったので、消化できてよかったです。誰にでも見れるようにぼかす予定でしたが、欲を優先させてしまいました。性知識については衆合地獄があるのでさすがに分かるんじゃないかということで。今のところこれっきりですが、またやらかすのかもしれません。かなり前に「仲は悪いけど体の相性はいい」という評をもらっているので、そうなんだと思います。
「愛ならば噛み砕け」。肋角さん目線の二人。素直に言葉にできる方とできない方。「ケンカップル」とか「殺し愛」とか終わるのは嫌だなと思い。こちらと本題はお題サイト「リラン」様から拝借したものです。直感でお借りしたものだったのですが、今ではもうこれ以外考えられないですね。
似ているようで似ていない二人の獄卒が「嫌い」だけの感情だけにあらゆる感情が加わるまで。読んでくださってありがとうございました。読んで良かった、谷裂が好きになった、少しでもそう思ってくだされば夢書きとして、谷裂好きとしてこの上ない幸せです。
――――そんなもの、野干にでも食わせた方がましだ。
――――そういった言葉で片付けるのは、私と彼に対する侮辱です。