プア・オニキス
ともかく、ルイのクロロに対する思いはたった一つ、死ねであった。
試しの門を7まで開く姉の平手の威力は想像に容易く、想像するだけで悪寒がした。
流石のクロロも、一瞬で冷静さを取り戻し、硬をするくらいには危ない一発だった。
気分を害されたルイはイルミもクロロも置いてパーティ会場を後にし、家に戻ったのである。

一目惚れした女の連絡先を知らないクロロは、連絡先を知っている弟に鬼のように電話をした。
イルミはそこまで想定したうえで、仕事用の携帯でクロロの番号を拒否していた。
しかし、クロロは諦めずに携帯を何台か買い直して、複数番号でイルミに電話したのである。
その行為にはイルミも困った、仕事が取れないのである。
得意先には携帯ではなく実家に直接掛けるように話をしたが、クロロはそこまで読んでいた。
執事室の電話も埋まることになったあたりで、イルミは諦めた。
これは姉に言わなくてはならない、家族全員が迷惑する。

「…姉さん。俺限界。何とかして」

長女であるルイはゾルディックの仕事も取るが、それ以外に独立して動いている。
ゾルディックの仕事は両親から頼まれた時だけであったから、電話が塞がっていて仕事に支障が出ていることを知らなかった。
そして、まさかクロロの奇行のせいでなんて思っていなかった。

滅多に限界なんて言わない弟の切実なお願いに、ルイは携帯を握りつぶしてしまった。
自分のせいでそんなことになっているなんてという驚き、変人への怒り、弟や家族への申し訳なさを織り交ぜた感情が抑えられなかった。

「ごめん、姉さん。何とかしようとは思ったんだけどさ、アイツほんとオカシイ」
「ああ…ごめん、平気よ。イルミには怒ってない」

しゅんと項垂れた様子のイルミの頭を撫でながら、ルイはクロロの抹殺計画を脳内で構築していた。
何を考えているのか分からないクロロに、何といっても無駄だろう。
電話ができないくらいに痛めつけるか、殺すしかない。
幸いにも自分の仕事は暇な時期だった、面倒事を片付けるにはちょうどいい。

「彼の場所は分かってるから、直談判してくるわ」

ルイはそういって家を出た。
イルミはその背中を見送りながら、もしかしたら、と言うよりは確実に、これが目的だったのだろうなあ、と考えた。
どうしてでもあの馬鹿はルイに会いたいのだ、気持ちの悪いことに。
イルミは姉に同情しながらも、自分可愛さで彼女をクロロの元へ送り込んだのである。
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