「絵本にもなってるのか」
「まあね。神話を元にしたミュージカルで、夜遅くまで起きてるとラミアに攫われるってアーデルでは言い伝えられてるくらい」
「ふうん…赤目なんだな」
「ラミアのこと?」
「ああ。赤目に金髪」
「好み?」
「…まさか」
部屋の中にあった黒い背表紙の絵本。
そこには“赤いリボンの女”とタイトルが書かれており、挿絵として金髪赤目の美しい悪魔、ラミアとその手に引かれた3人の子どもたちが描かれている。
ラミアと直接手をつないでいるのは、赤いリボンをした、金髪の女の子だ。
「私、そろそろ仕事だから大人しくしててね。…夜遅くまで起きているとラミアに攫われちゃうかも」
勘弁してくれ、と眉を寄せた男を笑いながら、女は仕事へ向かった。
それでは、Have a good night
過去へのアリア