丁度、3年前の春は遥か遠く。
桜吹雪のと共に、そのころの記憶も薄れていく。
でもきっと忘れないだろう、薄れたとしてもその時の匂いや笑顔をふとした時に思い出す。
自分が結婚したとしても、子供ができたとしても。
彼にとっての初恋がそうであったように、私の初恋もまた、永遠だ。
「あいつら、ホント幸せそうじゃん」
植物園の外、桜の木の下で2人きりで花見を楽しんでいるらしい小石川と白石。
こちらに気づいてはいないのだろう、気づかれても気まずいだけだから別にいい。
周りはワイワイ騒いでるにもかかわらず、あの2人の場所だけはただただ、静かで綺麗なままだ。
あの頃のこと思いながらラインの履歴を見返すけれど、決して返信を送ることはない。
彼はいつまでも遠い思い出の初恋として、心の中に残り続けている。