ぶいえす あめりかんぼーいず!
夏も真っ盛り。
エアコンの聞いた部屋で、私は教科書と睨めっこしていた。
高校2年生という、中弛みの時期。
一般的な女子高生らしく、部活動に励んだり、遊んだりしていたら、赤点になった。

今回は、翔一先輩が大学に行ってしまったこともあり、誠先輩が受験なのもあり、頼れなかったという原因もある。
しかし、あの2人のことだ、呼べば来てくれた可能性も高い。
だが、流石に呼び出すのは気が引けた。
その結果がこれだ。

「…お、お手数お煩わせ…」
「二重敬語で謝ってんじゃねーよ。そんなだから赤点になるんだよ、バァカ」
「あ、はい…」

赤点科目は、国語と数学、英語。
まさかのトリプル赤点に私頭を抱えた、ちなみに隣で高尾君が腹を抱えて笑っていた。
緑間君に笑い事ではない、真先輩に連絡を取れと口うるさく言われ、今日、個別夏期講習が執り行われることとなった。

なんで翔一先輩ではなく、真先輩なのかが非常に気になるところだ。
真先輩は大学の特別枠の奨学生を狙っている。
だからできる限り、負担を掛けたくなかった。

「ごちゃごちゃ考えてる時間があったら、とっとと勉強しろ」
「…はあい…」

夏休みはじめから、我が家で勉強会。
流石に真先輩も自習をしていて、わからないところがあったら聞くスタイルだ。
基本的に、今までカフェや図書館で勉強することが多かったから、家は新鮮だ。
自室だと、どうしても漫画や雑誌に手が伸びがちだが、真先輩いるからそれはない。

私は自分の勉強机で、真先輩は部屋に置いてある小さな丸テーブルで各々勉強している。
2人でいるこの時間だけ、私の部屋は私の部屋じゃないみたいなシンとした部屋になる。
それが少し不思議で、少し気まずいけれど、勉強ははかどった。

「おい、電話」
「?…あ、桃井さんだ」

ちなみに、私の携帯も真先輩が没収している。
ただ、今みたいに電話が鳴ったり、親からのメールが来たときは渡してくれる。
今回は電話で、真先輩が面倒くさそうに携帯を投げた。
慌ててキャッチして、ロック解除(ロックナンバーは変えたから、真先輩には開けられなかったのだろう)すると桃井さんだった。
以前、ファミレスに行ったときにアドレスと番号を交換したのを思い出した。

桃井さん、というと、胡乱気に真先輩がこちらを見た。
その視線は、「お前バスケ関係優先するなよ」って感じだ。
うーん。

「もしもし?」
『あ、もしもし苗字さんさん?突然ごめんね、今平気?』
「あ、うん。どうしたの」

真先輩の痛い視線を感じながらも、桃井さんの話を聞く。
ちょっと、気になる話だった。
一旦、返答は保留にして、真先輩に電話の内容をすべて伝えて、指示を仰ぐことにした。

「あのー、真先輩。今の電話なんですけど」
「何だったんだ」
「翔一先輩がアメリカのストバスチームと交流戦したんですって。で、ぼろ負け。そのカタキを取りに行こうって話」
「はあ?」
「今、動画送ってくれるって…あ、来た」

赤本片手に話を聞いていた真先輩がようやくこちらを見た。
私は知らなかったが、アメリカで有名なストバスチームと日本大学生選抜チームとの試合があったらしい。
それがテレビで放映されたそうだ。
最近、テレビの見ていなかったから知らなかった…ちなみに真先輩も初耳らしい。

とりあえず、桃井さんが送ってきてくれた動画がダウンロードできたので、真先輩の傍に座った。
真先輩も完全に赤本を閉じて、私の手元の携帯に注目し始めた。

「…ふうん?ざまあねぇな」
「ひゃー…」

試合は、真先輩が可愛く見えるほど凄惨たるものだった。
なるほど、普通にバスケをプレイしている人なら、カタキを打とうと言い出すのは分かる。

ただ残念ながらバスケにそこまで熱意もなく、普段手伝っている程度の私は真先輩の指示を仰ぐばかりだ。
頭を少し傾けて(真先輩の肩にぶつかった、近い)どうしましょ?と聞いてみた。
真上の真先輩は、自分で決めろ、とそういった。
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