12.がっこうのにちじょう
リドルはなまえの髪を左右で2つに分け、それを三つ編みにした。
首元が涼しくていいが、左右に垂れた長い三つ編みが若干邪魔である。
綺麗にできたのが嬉しいのかリドルは満足気に背後で浮遊している。

『これでいいよ。さ、朝ごはん食べに行こう』
「うん」

なまえがいつもより少し送れて大広間のスリザリンのテーブルに着いた。
マルフォイが昨日の吸魂鬼のモノマネらしいものをやっていて、スリザリンのテーブルは賑やかだ。
リドルはその様子を苦虫を噛み潰したような顔をして見て、馬鹿餓鬼がと吐き捨てていた。
それらを華麗にスルーしてなまえはオレンジジュースを自分のゴブレットに注ぐ。

リドルは元スリザリン生として彼らの行動に腹を立てることがよくある。
とはいえ彼らはまだ13歳だ、そう言うことを考えるのはまだ早い気がするのだが日本人独特の感性なのだろうか。

『あ、なまえ、きちんとたんぱく質も摂って。倒れるよ』
「…うん」

そしてリドルは15歳にしては大人すぎるのだ。
まるで親か何かのようになまえの世話を焼く。

なまえは言われたとおりスクランブルエッグを手元の皿にちょっぴり乗せて、それを食べきった。


今期最初の授業は古代ルーン文字学だ、なまえはそれと魔法生物飼育学を受講している。
それらを問題なくこなし、昼食を摂ってから魔法生物飼育学に向かう。
なまえは魔法生物飼育学の教科書の背を撫でていた。
買った当初はめちゃくちゃに暴れていたこの教科書だが、リドルが魔法で黙らせいろいろ実験した結果、背表紙を撫でると大人しくなることが判明したからだ。
とても面白い教科書だとなまえは楽しんでいたのだが、リドルはなんてモノを教科書にしたのだと呆れていた。

なまえが教科書を読む傍らで、リドルは
『多分3年生じゃこの教科書の開き方が分かる人なんて早々いないよ。批判されるだろうね、その教師』
と冷静にそう判断していた。
そのリドルの言葉は、現実のものとなる。

「どうやって?どうやってこの教科書を開くんです?」

嫌みったらしくマルフォイがそう新任教師に言う。
なまえはのんびりと教科書を開きつつ、その様子を遠巻きに見る。

「だ、だーれも教科書をまだあけなんだのか?」

なまえの隣にいつの間にか立っていたパンジーが驚いたようになまえを見る。
なまえの教科書は手の中で大人しく開かれていたからだが、なまえは特に誇るでもなく教科書に目を落とすだけだった。
そんななまえの小さな姿は大柄のハグリットの目には留まらなかったらしいく、彼は落胆したように肩を落としている。 

「お前さんたち撫ぜりゃーよかったんだ」

ハグリットは近くに居た栗毛の女の子の手から教科書を取り、背表紙をなでて大人しくさせた。
それをみて、他の生徒も教科書の背表紙を撫でる。
なまえだけはただ黙々と教科書を読んでいた。

ここでマルフォイがまたしゃしゃり出てくる。

「撫ぜりゃーよかったんだ!僕たちってみんななんて愚かだったんだろう!」

皮肉を大声でいって、スリザリン生の笑いを誘った。
グリフィンドール生はその様子に腹を立てているようで突っかかっている。
ハグリットはおろおろとしていて役に立たない。
なまえはちらりとその様子を見て、まだ授業が進みそうにないのでまた教科書に目を戻す。

また騒がしくなったので教科書から目を離すと、今度はマルフォイがポッターにまた吸魂鬼の真似をして見せている。
何だかんだ言ってもあの2人は仲が良いのではないかと思ってしまうほどだ。
あと10年もすればあの頃は、などと語り合っていそうなものだが。
ぼんやりとなまえはその姿を想像して、くすりと笑ったがその珍しい姿を見ていたのはリドルだけだった。
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