スキルアップを目指せ!
帰宅部に求められるものは、帰宅力。
帰りたいという欲望をそのまま行動に移す力。
そしてそれに伴う脚力、決断力、行動力、そして時に友人を突き放す勇気が必要になる。

「というわけで、私は帰るよ、黒子」
「馬鹿なこと言っていないでさっさと着替えてください」

鞄を肩に引っ掛けて帰る気満々だった私を、黒子が止めた。
彼はやる気満々なのか、すでに体育着に着替えている。
私は帰りたいのだ、運動好きでもないのにこんなことのために夕方の再放送アニメを犠牲になんてしたくない。

「強制参加ですよ、苗字さんさん。諦めてください」

強制、いやな言葉だ。
がしっと私の肩を掴んだ黒子を睨んだが、彼は相変わらずの無表情でこちらを見るばかり。
少しの間睨みあっていたが、しょうがなくなって、諦めた。
言わないでおくけど、黒子の目はちょっと怖い。

「わかったよー…しょうがない」
「外で待ってますからね」
「はあい」

お母さんか、というツッコミを入れたくなるのを我慢して、黒子が教室の外に出るのを待った。
他の人たちはもう先に行っている。
私と黒子は国語の教科委員の仕事で遅れているのだ。

私はちゃちゃっと着替えて、教室を出た。
黒子はぼんやりと体育館のほうを見ている。

「黒子、早くいってちゃちゃっと終わらせちゃお、応援練習」
「…待たせていたのは誰ですか」
「私!まあ私ら2人がいなくたって、応援練習は始まってるんだろうけどね」

私はともかく、黒子なんていないこと自体気づかれないんじゃないだろうか。
そう考えると黒子の性質は羨ましい様な、そうでないような不思議な気分になる。
楽そうだけど、寂しいことだ。

(まあでも安心したまえ、黒子!)(は?)(私は黒子のことを発見できるスキルを身に着けるのが目標だからね!)(はあ…)
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