36.CHRISTMAS END
クリスマスが終わり、学校に戻ってきた。
相変わらずパパは駅のホームでなかなか離してくれなかったが、何とか帰ってくることができた。

「ななしさん、プレゼントありがとう!これとっても素敵ね」
「よかったー、喜んでもらえて」
「一緒に送ってくれたマンジュウとグリーンティもとっても美味しくて、パパもママも大喜びだったわ」

寮に戻って荷解きをし、談話室に戻るともうみんな集まっていた。
相変わらずハッフルパフ生は団体行動が好きだ。
スーザン、ハンナ、ミーニャ、セドリック先輩がいた。
珍しくルイス先輩はいない。

私を見たハンナが目をキラキラさせてぬいぐるみを抱きしめた。
ハンナはぬいぐるみ好きと聞いていたので、日本製の縮緬の洋服を着たぬいぐるみをプレゼントしてみたのだ。
みんなのクリスマスプレゼントに悩んだ私は、基本的に日本特有のものを送ることにしていた。
まあ受けはいいかなと思ったのだ、他のみんなも喜んでいるみたいだしよかった。

ちなみにスーザンには化粧ポーチ、ミーニャには縮緬の飾りがついた髪留め、ルイス先輩には襖地のブックカバー、セドリック先輩には団扇をプレゼントしてみた。
ちなみに他の寮の人たちにも同じようなものをプレゼント。
それから、ついでに各家にお菓子もたっぷりと。

「あーよかった。私英国でのクリスマスって初めてだから何送っていいかわからなくて」
「ニホンいいなあ、僕も行ってみたい」
「いいところだけど、遠いよ。煙突ネットワークは圏外だし、姿現しも相当うまい人じゃないと無理なんだって。パパはできるけど危ないからやりたくないって言って、飛行機で移動してる」
「ヒコウキ!私乗ったことないわ」

そうなのだ、日本は魔法とかけ離れた世界。
デジタル機器が発達していて、それこそ魔法のよう。

ただ、暖炉などがない上にイギリスからも距離があるため魔法ではたどり着けない秘境。
行くにはマグル流でないと難しい。

その後、マグルの生活についてちょっと話をした。
セドリック先輩やスーザンはマグルの世界にほとんど行ったことがないらしく、興味津々だった。
私とハンナ、ミーニャはマグル界で生活したこともあるので(ミーニャは途中から魔法界に引っ越したらしい)いろいろと話をした。
そんな話をしていると、ようやくルイス先輩がやってきた。

「遅かったな、ジャック」
「長期休暇はお前んち行く…マジで…」
「あはは、いいよ。お疲れ」

セドリック先輩が席を立って、ルイス先輩を座らせた。
いつにないほどゲッソリしているルイス先輩に皆一様に驚いた。
私も驚いた、いつも飄々としていて弱みを見せない人だと思っていたから。

「あー、マジでねーわ。うぜえ」
「こら、みんな引いてるぞ」
「こういうお年頃なんだよ、気にすんな。お前らも通る道だよ…」
「…盗んだバイクで走り出すお年頃?」
「言いたいことはなんとなくわかった、そんなお年頃だ」

思い浮かんだフレーズをそのまま口にしてみたら、ルイス先輩は苦笑いした。
日本の歌のフレーズなのにニュアンスをわかってくれたようだ。
頭の回転自体に問題はなさそうだった。

セドリック先輩曰く、家族とうまくいっていないらしい。
まあ、反抗期というものだとそういった。
反抗期真っ只中の本人の前で言う言葉じゃないよなあと思いながらも、私はその話を聞いた。

「本家の連中がなあ…」
「ああ、ルイス先輩が嫌いなお父さんの話ですか」
「そうなんだよ…久しぶりに本家のやつらにあったんだけどなあ…ありゃねーわ。実力差とかもそうだけど、考えが違いすぎて着いていけないってのに…」

ソファーの背もたれにふんぞり返って天井を仰ぐルイス先輩は本当に疲れているようだった。
ハンナやスーザンは困ったように顔を見合わせていた。
それをみたセドリック先輩がこっそりとジェスチャーで席を外してもいいよといってくれた。

私たちは言われた通り席をはずして、スーザン、ハンナ、ミーニャは部屋に。
私は寮を出た、冬期休暇に借りた本を返さないといけない。
それに新しい本を借りたい、読んでいたシリーズの新作が出ているはずだ。
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