38.サバイバル
二次試験はサバイバルだ。
中忍ともなれば自分が隊長となり部隊を引き連れてサバイバルなんてこともよくあるから、試験内容としては妥当。
ただ、場所が死の森とはかなり本格的なサバイバルになる。
ここの生態系はかなり独特で、何かと動物が大きくなりがちだ。

「あんたみたいなのが真っ先に死ぬのよ」

そして、試験官はみたらしアンコ。
早速ナルトが調子に乗ってアンコに遊ばれている。

それよりも、殺気を込めてアンコの後ろに立った雨隠れの忍。
アンコが気づいているのかいないのか、こいつはやばい。
楽しみなんて言っている場合じゃない。
ちゃんと警戒しているのだろうか…していなさそうに見えるのが怖い。

天の書、地の書を集めるサバイバル。
最低でも半分は落とされるようになっているが、まあ、それ以上落ちるだろう。
同意書には軽くサインだけして(一応どこにサインするのかナルトに聞いた)、周囲の様子をうかがってみた。

サクラはイノと喧嘩をしている、サスケはもう冷静に周囲を観察しているようだ。
ナルトは何も考えていない。
まあそれがナルトのいいところでもあるから、何とも言えないが。
同意書を渡す時も、それがどういう意味を持っているのかわかっていないらしい。
同意書をテントの中で渡し、天の書をもらった。

死の森は昔に来た時と同じような陰鬱な空気が漂っている。
ナルト、サスケ、サクラはある程度の緊張感を保ちつつ、恐怖感はまだないみたいだ。
まあ、それくらいの方が身体も動かしやすいだろう。

「今の、人の悲鳴よね」
「もう始まってるんだね」
「なんか緊張してきた」
「どうってことねーてばよ」

試験が始まって数十分で人の叫び声が聞こえた。
どうやら早くもどこかの班が何かやらかしたらしい。
さすがのサクラも少し怖くなってきたらしい、サスケは大丈夫そうだ。

強がっているが、ナルトも緊張したらしい。
生理現象はしょうがないが、まあデリカシーがない。
年相応…よりは少し幼い行動に、あまり慣れない。
イタチは大人っぽ過ぎたから、サスケの方がまだ子供っぽいくらいだ。

サクラに怒られ、ナルトは茂みの中に消えていった。
これはちょっとまずいような気がする。

「あーすっげー出た!すっきりー!」
「だからレディの前でそういう…!」

わりーわりーと謝る姿はナルトらしいが、これはナルトではない。
サクラは気づいていないのか、いつも通り、ナルトを叱りつけている。
サスケはいつも通り何も言わないが、気づいているだろう。
ナルトに向ける視線がいつもよりも厳しい。
別にナルトの行動に対して呆れる程度のサスケが怪訝そうなのは、間違いなく気付いているからだ。

ナルトが一歩こちらに近寄ろうとした瞬間、サスケはナルトに対して裏拳を放った。
驚いているサクラの手を引いて、そっとナルトから遠ざけた。
ナルトの姿をしていたのは他里の忍者だ、どうやらルーキー狙いらしい。
サスケがすぐに気が付いたのが良かった。

他里の忍者を追いかけているときに、サスケはナルトを見つけたらしく一緒に帰ってきた。

「今度から4人がばらばらになったときのために、合言葉を決める」

冷静な判断だ。
今回の様に敵が変化の術で誰かに成り代わって現れることは大いにありうる。
未熟なルーキーを狙う人も多いだろう。

忍歌が今回の合言葉になるようだった。
それなりに長い歌が合言葉なので、ナルトは不安そうな顔をしている。

「仲間を見つけたと思ってもすぐに近寄らずに、この合言葉を言え。言えなかった場合は、敵とみなせ!」
「分かったわ」
「了解」
「またまたあ…そんなの覚えられるわけないじゃん」
「アンタ馬鹿ね、こんなの即覚えよ」

無論、サスケはナルトが覚えていられないだろうことも分かっているだろう。
合言葉の本当の利用価値はここにある。
合言葉を暗記できる人、できない人の見分けは、長く一緒にいた人でないとつかない。
サスケはそれも理解して、こんな長い合言葉にしたのだろう。
この合言葉を土の下で聞いているものに気づいているのかいないかはわからないが。

何より、下にいるのは先ほど、アンコを挑発していた忍だ。
チャクラの様子でなんとなくわかった。
非常に嫌な予感がする。

「巻物は俺が持つ」
「いてっ…なんだ?」
「新手か!?」

土の下に気を取られすぎていたようだ。
地上にいた敵が最初に動き、3人をばらばらにさせに来た。
突然の強風に私は一瞬たじろいだ…その時、足元にクナイが飛んできた。
私のところだけだ、飛ぶ以外に避けようがなかったので飛んだが、当たり前のごとく吹き飛ばされた。
私の足元だけにクナイが来たということは、相手は私の存在に気付いているということ。

何とかして私を3人から遠ざけたかったのだろう。
思惑通り、どうやら私は3人よりも遠くへ飛ばされてしまったらしい。

「まずい…ね」

3人だけでは、あの危険人物の相手は大変すぎる。
私は慌てて、3人の位置を確認し、駆けだした。
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