14.油断も隙もない
その瞬間、反射的に身体が動いてしまった。
ナルト、サスケを手加減して蹴り距離をとらせ、タズナを引き寄せる。
サクラの手を引き、タズナと同じ方向に移動させ再不斬と距離をとった。
一瞬のことに4人は呆然としていたようだが、少ししてようやく状況を把握したらしい。

また5人で集まり、先ほどと同じように陣を組みなおす。
カカシは再不斬と水分身の切り合いを始めていた。
再不斬の武器がカカシを切ったかと思えば、それは水分身。
一瞬の隙に相手の得意技をコピーし、利用して動揺を誘うといううまいやり方。

しかし、カカシが再不斬を切ろうとするとそれも水分身だった。
いつの間に水分身を作ったのか見えなかった。

「俺もそう甘かぁねーんだよ」

水分身はすぐに消え、再不斬は案山子の背後に回っていた。
振られる刃物を何とか避けたが、回し蹴りを食らった。
吹っ飛ぶカカシ、それを追いかけようと駆け出した再不斬だったが、再不斬は足元のまきびしに足を止めた。

「くだらねえ…」

カカシは近くにあった湖に落ちていた。
霧かくれの忍者の前で水の中にいるということは、かなり不利な状況となる。
再不斬はカカシの近くに向かい、水面にたった。
何をするのかは、なんとなく分かった。
霧隠れの忍者の攻撃は厭らしい。

「クク…ハマったな。脱出不可能の特性牢獄だ。お前に動かれるとやりにくいんでな。さてと…カカシ、お前との決着は後回しだ。…まずは、アイツらを片付けさせてもらうぜ」

水の中のカカシは、水の球体に囚われてしまった。
無論、中での呼吸は不可能。
再不斬はその球体に手をつけていないと維持できないらしいが、分身の術がある。
あの術から1人で抜け出すのは至難の業。
動けるのは私たち4人だけだ。

「ククッ…偉そーに額当てまでして忍者気取りか。だがな、本当の忍者ってのはいくつもの死線を越えた者のことを言うんだよ。つまり…俺様の手配書に載る程度になって、初めて忍者と呼べる。お前らみたいなのは忍者とは呼ばねぇ」

ちなみに、私の経験上では本当に強い忍者は無口だ。
そんなことはどうでもいい。

あまり動きたくはなかったが、動かざるを得ない。
私の目的は再不斬を倒すことではない、ナルトとサスケを守ること。
ただし、ばれてはいけない。
ある程度は無視し、本当に危ないと思ったときに助ける。
この見極めが難しい。

恐らく、再不斬はこちらを嬲る気だろう。
少なくともすぐ殺すということはない。

水分身がナルトを蹴り飛ばす。
…やはり嬲るつもりだ。

「ただのガキだ」
「お前ら!タズナさんを連れて早く逃げるんだ!!コイツとやっても勝ち目はない!!俺をこの水牢に閉じ込めている限り、こいつは此処から動けない!水分身も本体からある程度はなれれば使えないハズだ!!とにかく今は逃げろ!」

今の発言で、私とサクラ以外の2人が俄然やる気を出してしまったようだ。
そりゃ、先生が捕まってお前ら逃げろ、なんていったら頑張らなきゃと思うだろう、少なくとも男は。

昔、私もミスをして敵に捕まったときに、イタチに逃げろといったことがある。
イタチは逃げずに助けようとした…まあ、多分そういう法則か何かがあるのだろう。
兎も角、ナルトとサスケがやる気を出してしまった。

水分身は1体、甘く見られているらしいが下忍3人相手だったらそれくらいが妥当といえば妥当。

「サクラっ!後ろ!」

ナルトとサスケが作戦を練っている間に、タズナのほうに水分身が来た。
まあ、そうだろう、子供たちの作戦会議に時間を裂く必要性はない。
サクラを蹴り、タズナを引き寄せて、その攻撃を避ける。

そのまま、クナイで包丁のような武器を止めるが、重い。
受け止めきれずに流し、そのまま足元を崩しにかかる。
足元にローキックをいれ、バランスを崩した隙に背後に回りこみ、クナイを刺す。
水分身は脆い、少しの攻撃でも崩れてしまう。
それで1体は倒した。

ちょっとやりすぎたかもしれない。

「すっごい…」
「私、死生観がちょっとおかしいから、あんまり危機感って感じないの…だから身体が動くって言うか…」

明らかにやりすぎた。
カカシも見ているし、あまりいいことじゃなかったようだ。

この間に、ナルトとサスケは作戦を練り終わったらしい。

2人が戦う様を見たが、かなりいいコンビに思えた。
ナルトはトリッキーな技とアイディアで攻め、サスケは糸を縫うような繊細な技使いでカバー。
大型手裏剣を使った作戦で、うまくカカシを助けた。
その後はカカシが応戦し再不斬を追い詰めたが、霧隠れの追い忍をなのるものが再不斬に止めを刺した。
追い忍が再不斬を持って去っていった。

…カカシは戦いに疲弊していたせいか気づかなかったが、あれは追い忍などではないと私は思う。
追い忍の仕事をしたことがあるから分かるのだが、間違いなくあれは違う。
普通は首だけ持ち帰ればいいし、もし特殊能力を持っていたのならばその部位だけを持ち帰る。
全身を持ち帰る必要性はないし、あんな医療系の武器を使うこともない。
顔を汚さないために大型の武器は避けるが、さすがに千本は効率が悪い。

さて、カカシがそれに気づくのはいつになるのだろうと、タヅナに背負われたカカシを見た。

「お、見えてきたぞ」

タズナが前方に見えてきた街を指差した。
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