B


「…という訳だ」

今までの流れを軽く説明した銀時に対し、桂が溜息を吐く。

「『という訳だ』って、どういう訳だ。何の説明にもなっていないぞ、銀時」

そして、ちらりと氷柱を一瞥する。

「…何故、ここに連れて来た?」

「一人で放っとく訳にもいかねーだろ」

話を聞いたところ、氷柱は一人で行動していたのだという。
仮にも女の子が、一人で戦場をうろつくのは危険過ぎる──そう判断し、とりあえず桂達の所まで連れて来た、というのが銀時の弁。

「そうかも知れぬが、俺達の元にいたとしても危険なのに変わりは…」

ぶつぶつと呟く桂を無視して、銀時と氷柱は坂本に話し掛けていた。

「女の子は久方ぶりじゃのぉ。のう、金時?」

「銀時だろーが、ぎ・ん・と・き!!つーかてめぇはこの前キャバクラ行ったんじゃねーの?」

「昔の事など忘れたぜよ、アッハッハッハー」

『…どうでもいいけど、女の子扱いされるの嫌いだから、そこんとこよろしく。胸とか触ったら容赦なくブッ殺すから』

そんな会話(?)を交わし、次は高杉の元へ──と思ったが、どうやら高杉はまだ戻っていないらしい。

『銀時みたいに囲まれてたりして』

氷柱はそう言いながら、髪の結び目をふわりとほどいた。
艶やかな藍色の髪は、桂の黒髪よりも更に長く、腰の辺りまで伸びている。

「探しに行くか?」

桂の問い掛けに、銀時が首を横に振る。

「下手に動いたら、却ってはぐれちまうだろ」

実際、銀時と氷柱がここまで戻って来れたのも、桂達があまり移動していなかったお陰だと言える。

「腹が減れば戻って来るきに、気長に待つぜよ」

「犬か猫みたいだな」

桂が苦笑した時、その背後から声が聞こえてきた。

「…腹減った」

声の主は、高杉だった。



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