A


『あー、疲れたぁ』

ふぅ、と息を吐いて、藍色の髪の持ち主が座り込む。
その周りは、すっかり血の海と化していた。

「なぁ、お前…」

銀時が話し掛けると、空色の瞳がそれを捉えた。

「お前…もしかして、女?」

『正解』

短く答え、少女が笑う。

『まぁ、女なんてとうの昔に捨てたけどね』

それから、口元を緩めたまま、ほんの少し俯いた。

『女の子扱いされるの、苦手なんだ』

そう言って、少女は立ち上がった。

『私は氷柱。アンタは?』

銀時を見上げ、少女──氷柱が問いかける。

「銀時──坂田銀時だ」

銀時が答えると、氷柱はにっこりと綺麗な笑みを浮かべた。

『よろしく、銀時。氷柱ちゃんって呼んだらブッ殺すから』



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