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親父以外に身寄りの無かった私は、近藤さんの道場に寝泊まりさせてもらうことになった。
そこには女の子は私とミツバしかおらず、ミツバは稽古に参加することは無かった。

私も、ミツバと同じように稽古に参加しないだろうと思われていたらしい。
道場で竹刀を振る私を見て、皆は驚いたり、私を止めようとしたりした。

──氷柱ちゃんは女の子だから

ある時誰かが放った言葉。
それを聞いた私は、辺り構わず喚きたて、竹刀を滅茶苦茶に振るった。

──女の子だから何!女の子だから稽古に参加しちゃいけないの?戦っちゃいけないのっ!?
だったら私、女を捨ててやる!

泣きじゃくりながら、親父とお揃いにしていた藍色の長髪を、私は短刀でばさりと切った。

──私を“氷柱ちゃん”って呼ぶ奴も、女の子扱いする奴も、ブッ殺すから!


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