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私の親父──氷雨は、私が幼い頃に攘夷戦争に参加した。
微かに覚えてるのは、私の頭をくしゃくしゃと撫でる大きな手と、私と同じ藍色の髪。

──絶対帰ってくるから

そう言い残した言葉。

待っても待っても、親父は帰って来なかった。
周りの人は親父が戦争で死んだのだと言うけれど、私は信じなかった。

親父はまだ戦っているんだ。
私も親父と一緒に戦いたい。

そう思った私は、親父がくれた短刀を片手に家を飛び出した。
無謀にも天人に剣を向け、返り討ちにされてボロボロになった私を拾ってくれたのが、近藤さんだった。



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