A


暫く考え込んでいた氷柱が、やがてこう言った。

『“氷雨(ひさめ)”っていうのは…どうかな?』

それは銀時達にというよりは、子猫に向けられた言葉だった。

「にゃぁ」

応える様に、猫が小さく鳴いた。

「お、猫も気に入った様じゃの」

坂本が笑う。

「んじゃ、氷雨で決まりだな」

銀時も表情を緩めた。

『うん!』

氷柱が頷き、氷雨に頬擦りをした。
氷雨は気持ちよさそうに目を細めた。

『氷雨…』

氷雨を抱える氷柱の腕が僅かに震えている事には、誰も気付かなかった。



[*前] | [次#]