B 「氷柱?誰か来てるのか?」 トシと総悟が近藤さんを探しに行った後、銀時が宿舎から出てきた。 『うん、昔同じ道場にいた奴等が来てた』 「道場?」 銀時は意外だと言うように目を見開いた。 『道場っていうか、第二の我が家みたいな感じかな』 「第二の我が家…か」 銀時がぽつりと呟く。 「分かるよ、それ」 『…え?』 顔を上げて見ると、銀時は少しだけ寂しそうに笑っていた。 「俺も、寺子屋が第二の我が家みたいな感じだったし」 『寺子屋って確か…ヅラと高杉と同じ所に通ってたんだよね』 銀時にとっての桂と高杉は、私にとってのトシや総悟みたいな存在なのかな。 でも、やっぱり少し違うかもしれない。 だって、銀時達は今も一緒に戦ってるから。 『私は…』 「ん?」 『…ゴメン、何でもない』 私は、銀時の背中を軽く押した。 『銀時は先に戻ってて』 そう言うと、銀時は頷いて宿舎の方に戻って行った。 ──私は、トシや総悟と一緒に戦いたいのかな…。 もし、道場に戻るように言われたら、私は戻るのかな? 『私…何考えてんだろ』 迷うことじゃない。 元いた場所に戻るだけなんだから。 [*前] | [次#] ← |