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すると桂は目を細めて、

「やっぱり可愛いな、氷柱殿」

なんて訳の分からないことを言った。
…うぅ、傷が疼いているのか、頬が熱い。

『…アンタ、今日どっかおかしいんじゃない?脳みそでもやられた?』

「俺は至って普通だ」

『本当に?…痛ッ!!ちょ、しみるって!!』

傷口に押し当てられたガーゼがしみてズキズキする。

「わ、悪い…!!」

桂は慌てて謝った後、今度はそっと撫でるようにガーゼで触れてきた。

やっぱり私が女だから、手加減してくれてるんだろうか…。
その優しい手つきを見てるとそう思う。

もし私じゃなくて銀時だったら?
高杉や坂本でも手加減しただろうか?

『…想像できないや』

「ん?」

『何でもない』

胸の奥がほんの少しくすぐったい。
たまにはこんな日もいいかも…なんて不覚にも思ってしまった。



女なんて捨てたつもりだったけど
(まだ何か、捨て切れていないものがある様だ)


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