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翼は、ようやく晴らす事が出来た恨みを終わらせる為、今日ここを訪れたのだった。

しかし何度来てもこの青年は苦手だった為、もう帰ろうと腰を浮かせて扉へ向かった時、後ろから賢斗の声がかかる。

「あぁそうだ。
君の復讐の原因となった例の火事だけど…少し不自然なんだってさ」

「やっぱり…」

「煙草の不始末って事らしいけど…君より先に外出していた彼女達が仕掛けたとしたら少し妙じゃないかい?
どうして、君は煙草に気づかなかったんだろうね?」

「それは…」

言われてみればそうだった。
しかし何故と聞かれても分からない。

「分からないなら教えてあげようか」

翼の心を見透かしたような賢斗の言葉に、翼は嫌な予感がした。
聞いてはいけないと何かが告げる。










「煙草の不始末であの家を燃やしたのが、他でも無い君自身だからさ」













どくん、と心臓が大きな音を立てた。
賢斗の目がすぅっと細められ、口元が歪んだ。

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