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そんな時、追い打ちをかけるように美里の携帯が再び震えた。
隼人がかけ直してくれたのだろうか、と少しの希望を抱いた美里の顔が次の瞬間強い恐怖の色を浮かべた。
表示されたのは、夥しい量の着信履歴を残したあの番号だった。
ついに耐えきれず悲鳴を上げた美里に驚いた顔をした玲子が近づくがパニックを起こした美里にはもう何も分からなかった。
「美里、どうしたの、美里!」
「嫌、来ないで、来ないでっ!」
玲子が伸ばした手を振り払い、無我夢中で暴れた。
自分の周りにあるもの全てが敵に見えた。
気がつけば美里は馬乗りになって玲子の首を締めていた。
玲子が何かを叫んでいるが、それすら聞こえていない。
どくどくと心臓が激しく脈打つ音しか、今の美里には聞こえていなかった。
どのくらいそうしていただろうか、不意に肩を叩かれ、耳元でよく知った声が囁いた。
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