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そう、この真希という青年は笑顔中毒者なのだ。

それと同時に、世界をひどく嫌っている。

彼は、誰かが笑ってくれるなら、他の誰かを犠牲にしても構わないという矛盾した自論を持ち、ある意味では博愛主義者と言えるだろう。

その事を知っているからこそ、賢斗は彼と居る時は笑顔を浮かべない。

賢斗にとって、人間を喜ばせるなど不愉快極まりないのだから。

それでも、賢斗の笑顔には色々な種類があるのを知っている真希はそれ見たさに懲りずに賢斗の元を訪れるのだった。

因みに、賢斗は真希の名前についてからかう事は一切しない。

以前、「女の子みたいな名前だねぇ」と言って常のように笑ったところ、「それで賢斗が笑ってくれるなら僕はどんな名前だって構わないよ」と心底嬉しそうに返えされた事があるからだ。

賢斗にとっては非常にやっかいな相手である。

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