13
休み時間になった時、美里の携帯が震えた。
こんな時間に誰だろうと不思議に思いながらディスプレイを見ると、知らない番号だったので間違い電話だろうと思い、そのまま放置する。
暫く震えいた携帯はやがて止まるが、次の瞬間また震え出した。
何度切れても、何度も何度もかかってくる。
「なんなのよ…!」
不気味に思った美里は鞄の奥深くに携帯を突っ込んだ。
隼人に会いたい、と思った。
連日、薙ーー賢斗の影に怯える美里にとって、隼人は精神的支柱だった。
もし彼が居なかったら…そう考えるだけでぞっとした。
胸に燻る不安を抱えたまま放課後を迎え、恐る恐る携帯を開いた美里は危うく悲鳴を上げそうになった。
≪着信履歴 50件≫
どれも全て同じ番号だ。
異常としか言えなかった。
“逃げられないよ、業からは”
不意に賢斗の声が蘇り、気がついたら美里は走り出していた。
早く、早く、何処か、逃げなければーー
それしか考えていなかった美里は角を曲がった所で歩いて来た人と衝突した。
「あ、すみま…美里さん?」
慌ててその場を去ろうとした美里は、聞こえた声にはっと顔を上げた。
「隼人、さん…」
そこに居たのは心配そうな顔をした隼人だった。
[ 58/75 ]
[*prev][目次][next#]