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美里が隼人と電話をした次の日の事。
偶然午前中に仕事が無かった玲子の元に、一本の電話が掛かってきた。

美里は、既に学校に行っていた。
家事に気を取られていた玲子は禄に番号を確認せず電話に出る。

「はい、真崎です」

「あ、すみません私、美里さんのクラスの副担任をさせて頂いてます斎藤という者です」

受話器越しの若い男の声を聞きながら玲子は記憶を探る。
確かに、美里の副担任は斎藤という若い男性教師だった。
しかし、斎藤自身どことなく影が薄く、目立たない人物であった為話した事など一度も無かった。

一体何の用だろうか…?

「突然で恐縮ですが、最近美里さんに何か変わった事はありませんでしたか?」

「…変わった事?」

「えぇ。
美里さん、最近酷く思い詰めた顔をしてらしたので…」

斎藤の言葉に、玲子はここ数日の美里を思い出す。
ある時はとても嬉しそうだったが確かに最近は暗い顔をしているように思える。

「それに…どうやら美里さんらしき人物が見知らぬ男性と歩いているのを目撃したと生徒から情報が入ってるんです」

「え…?」

「茶髪の、20前後位の青年らしいのですが心当たりは?」

美里にそんな知り合いは居ないはずだ。
友人にしては歳が離れているように思える。
嫌な予感が玲子の胸を過る。

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